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国債下落が金融機関に与える影響は低下傾向。だが安心できない最近の動き

 

 日銀は10月の金融システムレポートにおいて、2013年6月時点における金融機関の国債価格下落リスクの試算を発表した。長期国債の売却が進んでいることから、3月時点よりも推定損失額は小さくなった。だが足元では再び国債を買い戻す動きもあるため、今後もリスク低減が進むのかは微妙な状況だ。

 日銀は現在、量的緩和策を積極的に進めており、物価が上昇すると長期国債の金利も上昇(債券価格は下落)する可能性がある。
 金利上昇のスピードが激しかった場合、金融機関には国債価格の下落によって損失が生じる可能性がある。特に、普通預金や定期預金といった期間の短い調達手段で資金を調達し、長期国債など期間の長い投資先で運用を行っている銀行への影響は大きい。

  日銀の試算によると、国債価格が1%下落した場合の金融機関全体の損失額は7.9兆円となっている。3カ月前の調査では8.7兆円だったので8000億円ほど損失額が減少した。これは各金融機関が、国債の下落リスクを想定し国債以外への投資先への乗り換えを進めていることや、量的緩和の影響で金融機関による長期債の購入が減少していることなどが主な要因と見られる。

 ただ内訳をみると少し状況は異なっている。6月時点での推定損失額は、メガバンクが2.9兆円、地銀が3.2兆円、信用金庫が1.9兆円となっている。これに対して3カ月前の試算では、メガバンクが3.7兆円、地銀が3.2兆円、信用金庫が1.8兆円であった。メガバンクは損失額が大きく減少し、地銀は横ばいとなったが、信金は逆に損失額が増大している。これは金融機関の規模が小さいほど、国債に変わる投資先や融資先が見つからないためで、特に信金は国債以外に投資先がない状況だ。
 また損失が業界に与えるインパクトの違いも大きい。メガバンクの資産規模は約460兆円、地銀は260兆円だが、信用金庫は130兆円しかない。わずか1%金利が上昇しただけで信用金庫の資産全体の1.5%が吹き飛ぶことになる。

 またメガバンクについても安泰ではない。日銀の量的緩和以降、メガバンクは国債の売却を進めてきたが、ここに来て運用難が深刻化。逆に国債の買い戻しを進める動きが一部に見られるようになってきた。国債の購入を日銀と争うような状況となれば、国債バブルはさらに加速することになり、将来の金利上昇リスクの増大につながる。
 この状況を打開するためには、国債に代わる優良な運用先の開拓が何より重要であり、ここは政府の成長戦略にかかっている。だが成長戦略は新産業創出につながる規制緩和はほとんど見送られ、従来産業の支援にとどまる可能性が高くなっている。従来型企業は過去最高レベルの現金を保有しており、銀行融資へのニーズがない。融資が大きく増える見込みは今のところほとんどない。国債リスクは依然として進行中と考えた方がよいだろう。

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