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米国の一部で広がるチップ廃止の動き。その背景にあるのはグローバル化?

 

 レストランにおけるチップの習慣を廃止する動きが米国の一部で広がっているとニューヨークタイムズ紙が報じている。現在のところ寿司レストランなど、日系のレストランが中心だが、有名な料理人対決番組「トップシェフ」の審査委員長を務めるトム・コリッキオ氏が所有する店でもサービス料込みの価格設定を検討するなど、広がりを見せ始めているという。

  欧米では現在でもチップの習慣が残る地域が多い。欧米のレストランでは接客担当者の給料はチップがもらえることを前提に安く設定されており、完全に生活の一部になっている。もともとは階級社会からスタートした制度ではあるのだが、チップ制度にもいい点がある。

 チップが存在すると、よいサービスを一生懸命に提供した担当者は高い報酬を得ることができ、失礼な接客をする担当者はあまり稼げないことになる。判断は上司ではなく顧客がするので、恣意性が入る余地が少ない。がんばった人が報われるシステムでもあるのだ。
 チップの習慣がない日本人にはなかなか面倒なものだが、よいサービスをしてれた担当者にお礼にチップをはずむと、本当に嬉しそうに受け取っていくので、出した方も非常に気持ちがよい。階級制度の名残りでありながら、ここまでチップ制度が存続してきたのは、このあたりに理由がありそうだ。

 ただ、この制度にはいろいろと問題が山積しているようである。接客担当者にはチップの習慣があるが、厨房にはその習慣はなく、厨房スタッフの中には不公平を持つ人もいるという。また、接客担当者同士でチップをめぐってトラブルになることは日常茶飯事で、中には訴訟に発展するケースもある。

 だがチップ見直しの機運が高まっている最大の理由はグローバル化にありそうだ。米国のレストランでは、移民が従業員として就労するケースが増えてきており、その中にはもともとチップの習慣がない人もいる。一方、来店する顧客の方も国際化が進んでおり、サービス料込みの価格設定の方が敷居が低くなり、売上増が期待できる。
 料理の世界はもっとも早くグルーバル化が進んだ分野のひとつである。フュージョンスタイルという各国の要素を混ぜ合わせた料理が登場してから久しいが、現在では古典的なフレンチやイタリアンの店を見つける方が難しいくらいである。
 こうした条件が重なってきたことで、チップではなく統一したサービス料という形に収束しているものと考えられる。もっとも、記事に取り上げられた店は、大都市の有名店ばかりである。ニューヨークやロサンゼルスはある意味で、米国の中でもっとも特殊な街といえる。こうした動きが全米のすべての店に広がるのかはまだ何とも言えない。

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