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NSAによる電話盗聴でにわかに注目を浴びる大使館の「地理的条件」

 

 米国の諜報機関による電話盗聴問題によって、大使館の地理的な位置関係がにわかに注目を集めている。盗聴スキャンダルの発端となったエドワード・スノーデン元CIA職員が、各国の大使館を拠点とし、携帯電話などの電波を傍受している実態を明らかにしたからである。

 ドイツのシュピーゲル誌が10月28日に報じたところによると、スノーデン氏が公表した資料には、全世界の80カ所にのぼる大使館が情報収集の拠点として記載されていた。
 ドイツのメルケル首相の電話盗聴については、ベルリンにある米国大使館の上部に設置したアンテナで携帯電話の電波を直接傍受していた可能性が高いという(本誌記事「米国の電話盗聴問題、徐々に具体的手法が明らかに」参照)。
 ベルリンの米国大使館はドイツ首相府などが立ち並ぶ行政区に隣接しており、付近を飛び交う電波を受信するには最適の場所といえる。そこで注目を集めているのが、大使館の場所である。

 スノーデン氏が公表した資料によれば、英国、オーストラリア、日本、韓国など、米国と親密な同盟国は盗聴リストから除外されている。だがそのことは盗聴が一切行われていないことの保証にはならない。実際、日本と米国の貿易交渉が活発だった80年代、90年代には、米CIAが日本の官庁の盗聴を行っていた。
 ただ、米国とは様々な交渉が必要とはいえ、日本にとっては最大の友好国である事に変わりはない。大使館による無線傍受による盗聴が現実のものだとすると、むしろ気になるのは中国など利害が著しく対立する国による盗聴行為である。
 そこで重要となるのが各国大使館の位置というわけである。政治中枢に近ければ近いほど盗聴には有利であり、遠ければ遠いほど不利になるからだ。

 一般論として、その国との友好関係が深ければ深いほど、政治中枢と大使館の距離は近くなるといわれている。日本でもっとも中心部に位置しているのは英国大使館で、場所は皇居のすぐ隣である。明治維新以後、英国の指導で近代化を行い、現在の日米同盟に相当する日英同盟を結んだ相手であることを考えると、英国大使館の場所が皇居の隣であることは納得できる。
 米国大使館は港区赤坂にある。住所は赤坂になっているものの、大きな道路を隔てたすぐ先は首相官邸であり、やはり米国大使館の位置は、日本と米国の友好関係を表しているといってよいだろう。

 一方、中国大使館は港区の六本木にある。有名な六本木ヒルズから少し奥に入ったところだ。一等地ではあるが、政治中枢からは少し遠い。ちなみに中国政府は港区の広尾に土地を購入しており、大使館を移転する計画があるとも噂されている。もし広尾に移転することになれば、距離はさらに遠くなる。
 ロシア大使館は港区の麻布台にある。斜め向かいは外務省の飯倉公館で、後方は在日米国人の拠点であるアメリカンセンターという微妙な場所にある(ちなみにアメリカンセンターは戦前は満鉄が所有するクラブであった)。米国大使館よりはかなり遠いが、中国大使館と比較すると中枢部には近い。

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