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イタリアで若者のために高齢者の早期退職を促す動き。だが社会全体の負担は増加?

 

 改正高齢者雇用安定法の施行によって、日本では生涯を通じて働くことが可能になってきている。だが一方で、こうした措置が若者から雇用を奪っているという批判も大きい。極めて高い若年層失業率が問題となっている欧州では、逆に定年を短縮し、若者に雇用を分配する動きも見られる。

 厚生労働省が10月30日に発表した高齢者の雇用状況の集計結果によると、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は66.5%で、前年比で17.7ポイント上昇した。
 65歳までの継続雇用を企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法の施行をきっかけに、大企業を中心に、生涯労働が可能な制度を整備した結果と考えられる。中小企業についても導入が進んでおり、日本では確実に、生涯労働という方向に向かいつつある。

 先進各国は程度の差こそあれ、年金制度の維持に苦心しており、生涯労働という方向性では一致している。だが欧州では、あまりにも高い若年層失業率から、これとは逆の動きも見られるようになってきた。イタリアでは、一部の大手企業が中高年以上を対象に、早期退職を促す代わりに、年金不足額を会社が負担するという制度の運用を開始した。若年層の失業率があまりにも高く、社員年齢の偏りが激しくなったことから、技能の継承がままならなくなっており、早期退職の推奨はこれを解消するのが目的だという。地方自治体の中には、こうした負担ができない中小企業のために、補助金の支出を検討しているところもあるという。

 ユーロ圏の9月における失業率は12.2%と何とか悪化に歯止めがかかった状態だが、若年層の失業率は依然として高く、改善の兆しは見えない。イタリアの若年層失業率は何と40%であり、このままの状態が続けば、会社は老人ばかりとなり、技能やノウハウの継承に支障を来す可能性は高い。日本の見かけ上の失業率は欧州よりもずっと低いが、これは日本の失業率のカウント方法に違いがあることや、社内失業が存在していること、最低賃金など労働法制があまり遵守されていないことなどが大きく影響しており、実態はもっと悪い。欧州の状況は決して他人事とはいえないのだ。

 ただ早期退職の奨励は必ずしもプラスの効果をもたらすわけではない。年金の不足額は結局のところ、企業か自治体が負担することになり、経済全体で見た場合の、高齢者に対する負担はむしろ増加するとの見方もある。また早期退職に応じるのは、その後年金だけで生活できる比較的裕福な労働者だけであり、生活水準が低い人には、そもそも引退という選択肢がない。

 最終的な国民負担がどうなるのかは確かに現時点では不透明かもしれないが、少なくとも、現役世代に給与所得がシフトすることは経済的にプラスの影響をもたらすだろう。一方で、年金支給額の減額などによって、一生涯働かないと生きて行けない人が多いという現実を考えれば、これが社会全体に普及するとは考えにくい。これは日本においてもまったく同様であろう。
 仮にこのような制度が導入されたとしても、早期リタイヤで悠々自適の暮らしをする大手企業や公務員出身者と、生活のために一生働く人に二極分化することになるのかもしれない。

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