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再来年に迫った相続税増税で住宅保有者は大慌て。だが今後も資産課税強化は続く

 

 2015年1月に迫った相続税の増税が住宅保有層における懸案事項になってきている。中高年向けの経済誌などでは「庶民にも相続税が迫る」といったタイトルで盛んに特集記事が組まれている。
 これまで課税されなかった層まで相続税が及ぶという危機感なのだが、一方で、相続税の問題はおろか、日々の生活にも苦しむ低所得の若年層にとっては遠い世界のような話でもある。

 今回の相続税増税における最大のポイントは、課税対象が広がることと最高税率が上がることの2点である。最高税率については資産数億円の人にしか関係がない話であり、多くの人にとっては課税対象の拡大が重要となる。

 これまで相続税には基礎控除と呼ばれる措置があり、例えば3人(妻と子供2人など)が相続するケースでは8000万円まで相続税は発生しなかった。8000万円以上の資産を持つ世帯はそれほど多くないため、相続税の対象となる人は全体の12%程度であった。
 だが今後は、基礎控除の計算方法が変わるため、同じ条件では4800万円まで課税対象が広がることになる。4800万円ということになると、大都市圏でちょっとした土地や家屋を相続する人でも相続税の対象となる。相続税の支払いのために家を売らなければいけないケースも増えてくるのではないかと、住宅保有層は懸念している。

 相続税の課税強化については、賛否両論が分かれている。相続税を強化すれば土地の流動化が進み、土地活用が促進される可能性が高い。また、土地を相続できる人とできない人では、大きな経済的格差となることから、特に若年層の機会均等という観点で課税強化に賛成する向きも多い。
 一方で、慣れ親しんだ家を相続税のために手放すのは残酷であるとの意見や、むやみに課税を強化する政府の姿勢への反発から、増税に反対する声も少なくない。

  世間では活発な議論が行われているが、政府の相続税に関する関心は低い。というよりも相続税を中心とする資産課税の強化は、完全に既定路線であり、どんなに世論が盛り上がろうとも、変更の予定はないからである。
 政府は2020年までに政府の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという公約を掲げている。2013年10月に政府は8%への消費税増税を決定したが、仮に10%への増税に成功したとしても、財政赤字解消のメドは立たないのが現実である。消費税もむやみに増税することは難しいことから、相続税の強化しか税収を拡大する方法は残されていないのだ。

 日本の政府支出にムダが多いのは事実だが、これほど巨額の公的債務を抱える最大の原因となっているのは、年金や医療といった社会保障費の増大である。年金、医療の最大の受給者は高齢者層であることを考えると、相続税の強化は、高齢者から政府への所得移転ということになる。
 今後、劇的な経済成長で税収が大きく増加する見込みがほとんどないことや、年金の大幅削減という政治決断はほぼ不可能という現状を考えると、相続税強化は避けて通ることができない道なのかもしれない。

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