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低賃金労働は意外に強い!米国では職の2極分化が急激に進行中。さて日本は?

 

  NY連銀が米国における30年間の雇用の変化について分析したレポートを発表した。グローバル化とIT化の影響で、米国の労働市場は激変していること明らかとなった。NY連銀のレポートは日本における雇用の将来を占う上で非常に参考になる。

 レポートでは、業種をアッパー、アッパーミドル、ローワーミドル、ローワーの4階層に分けて30年間の増減を追跡した。結果は、アッパーの仕事が割合が35%も増加している一方で、アッパーミドル、ローワーミドルの割合は減少した。
 アッパーの分類には、経営管理、金融、法律、ITなどが分類されている。ミドルクラスには、建設、教師、販売、運転手、アシスタント、工場従業員などが含まれる。

 ミドルクラスの仕事が減った原因は明らか。グローバル化とIT化である。工場の海外移転が進み、オフィスではIT化によってアシスタント業務が不要となった。経理業務などがまるごと海外にアウトソーシングされるケースも増えてきている。物販の世界も変わり、ネットを使った販売が大きく伸びている。

 雇用が減っているミドルクラスに対して、意外に健闘しているのがローワークラスである。ローワークラスの仕事の割合は12.7%から16.2%に増加、雇用の絶対数も2倍近くになった。
 ビル管理、食品調理、店員などがこのクラスに属するが、これらの仕事は海外にアウトソースすることができない。賃金は安いものの、海外に市場を奪われることがないのだ。

 つまりグローバル化とIT化で職業の2極分化が起きているのである。高いスキルが必要な仕事と、賃金が安いが海外にシフトできない仕事が増加し、中間は減少する。

 日本と米国は環境が異なるため、米国のデータをそのまま日本に当てはめることはできないが、米国よりもさらに状況が悪くなる可能性がある。それはなぜか。

 日本は米国と異なり、雇用や企業の流動性がほとんどない。米国では、失業しても州を移動して職を見つけたり、ランクを下げて職を見つけるなどの方法がある。だが日本は終身雇用が未だに続いており、就職ではなく就社する概念が強い。会社が存続しているうちはいいが、クビになってしまったり、会社がなくなってしまうと、他社への就職はほぼ絶望的になってしまう。

 ある会社でミドルの仕事がなくなり、ローワーを増やすということになった場合、ミドルを解雇してローワーを新規採用するということはしない。会社の中でミドルからローワーに配置転換するだけである。外部から採用する可能性は少ないのだ。

 終身雇用はあくまでも、既得権益者(雇用されている人)が圧倒的に得をするシステムである。一旦社外に放り出されてしまうと、終身雇用の社会で再び職を得るのは極めて難しい。

 おそくら日本では米国のように職業の2極分化はせず、仕事がある人とない人という絶望的な階級社会になる可能性が高い。

 - 社会, 経済

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