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三木谷氏が規制強化を批判して委員辞任を示唆。安倍政権はなぜ態度を決められない?

 

 楽天の三木谷社長は11月6日、都内で記者会見を行い、政府が大衆薬のネット販売を規制する新ルールの導入を検討していることに抗議し、正式に決定された場合には、産業競争力会議のメンバーを辞任する意向であることを明らかにした。

 安倍政権は成長戦略において、抵抗勢力と戦い規制緩和を推進するというスタンスと、官僚主導で従来型企業を支援するスタンスとの間で揺れ動いてきた。
 特に海外に対しては、かなり強い口調で徹底的な規制緩和を宣言していたことから、実際の政策とのギャップも指摘され始めている(本誌記事「本心?それとも外国人向けポーズ?安倍首相がシンガポールで既得権益層との対決を宣言」参照)。
 三木谷氏は産業競争力会議の中では、竹中平蔵氏と並ぶ構造改革派の代表格であり、実際に辞任ということになると、安倍政権の成長戦略にも大きな影響を及ぼすことになる。少なくとも、矛盾する二つの方向性を共存させるという、玉虫色のやり方はもう選択できなくなる可能性が高い。

 日本経済がなぜ長期の低迷を続けているのかについては、様々な見解がある。だが大きく分ければ、循環的要因であるとする立場と、構造的要因であるとする立場に二分することができる。
 
 循環的要因の立場に立つ人は、日本経済の基本的な力は衰えておらず、あくまで現在の低迷は景気循環的なものであると判断している。このため財政を使って経済を刺激したり、為替を円安に誘導することによって、従来の状態を回復することができると考えている。成長戦略におけるターゲティング・ポリシー(特定産業支援策)は、この立場をもとにした政策である。
 一方、低迷の原因が構造的な問題にあると考える人は、こうした政策には批判的だ。日本の産業は制度疲労を起こしており、これを改革しないことにはあたらな成長ステージに入ることはできないと考えている。そのためには、構造改革が必要であり、国民はある程度の痛みを甘受する必要があるとしている。構造改革派の主張は「競争力を付けるには競争させるしかない」(竹中氏)という発言に集約されている。当然、規制緩和はこの考え方の延長線上にある。

 どちらの政策をとるべきなのか最終的に決断するのは国民であり、現実的には国民の信託を受けている政権ということになる。両極端な考えはよくないという考え方もあるが、最終的に折衷案になるにせよ、基本的にどちらの側に立つのかをはっきりさせないのは、単なる優柔不断でしかない。
 その意味で、これまでの安倍政権はまさに優柔不断であったといってよいだろう。安倍氏が態度をはっきりさせなかったのは、抵抗勢力の批判をうまくかわすための戦術であるとの解釈や、ホンネでは安倍氏は経済政策にあまり関心がないという解釈もあった。結局のところ安倍氏の真意は不明なのだが、少なくとも戦略特区法案など、これまでに出てきた政策を見る限り、規制緩和に前向きな姿勢は見られない。この状態で三木谷氏が辞任するような事態となれば、少なくともマーケットは規制緩和に消極的であると判断する可能性が高いだろう。

 問題は、実質的に構造改革路線を撤廃した時に、堂々とそれを主張できるかである。構造改革が必要と強く訴えながら、ウラでは規制を強化するというちぐはぐなスタンスは、後ろめたさのようなものを感じさせてしまい、市場に疑心暗鬼を生む。
 経済はマインドによって動かされる部分も多い。構造改革路線を完全に放棄するのであれば、堂々とその方針をマーケットに向けて宣言した方がよほどスッキリするだろう。少なくとも、市場が政策の方向性について判断できないという中途半端な状態は避けることができるはずだ。だがなかなかそうならないのは、規制緩和に消極的であるとして、市場から見放されることへの恐怖感が、政権内部に根強く存在しているからなのかもしれない。

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