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トヨタの中間決算は絶好調。単なる円安効果なのか、本質的なカイゼンなのか?

 

 トヨタ自動車は11月6日、2013年4月~9月期の決算(中間決算)を発表した。営業利益は前年同期比81%増の1兆2554億円となり、上半期としては過去2番目の水準となった。円安が主な要因だが、同社ではコスト削減努力の結果が業績拡大に大きく寄与していると強調している。同社の好決算は果たして何によってもたらされているのだろうか?

 同社の売上高は前年同期比15%増の12兆5375億円、当期利益は同83%増の1兆円であった。前年同期は1ドル=80円程度の為替レートだったところが、今期は100円近い水準になっている状況を考えれば、今期の業績拡大は円安によってもたらされたものと判断するのが自然である。
 だが同社は、為替の寄与度が高いことは認めつつも、リーマンショック以降進めてきたコストダウンの成果であることを強調している。同社の主張が正しいのかどうかは、決算内容をもう少し詳しく比較してみる必要がある。

 前年同期の決算と比較すると、売上高は15%増加したの対して営業利益は80%も増加し利益率が大きく向上した。一方、販売台数はほぼ横ばいで推移している。販売台数が伸びていないにもかかわらず、売上げが増加しているのは、まさに円安の効果といってよいだろう。
 海外生産比率が高い同社の場合、単に為替の影響だけだとすると、利益率はあまり変化しない可能性が高い。利益率が向上しているということは、同社が調達部品の値下げや共通化、生産ラインの集約化などによって、ここ1年でより利益体質になったことを示している。ちなみに同社の原価率は87%から82%に低下している。

 さらに為替が円安だった時代と比較すると、その違いは鮮明になってくる。今回の決算で同社は、通期の売上高見通しを25兆円、営業利益見通しを2兆2000億円とした。この数字は営業利益における過去最高益を記録した2008年3月期決算の水準に並ぶものである。
 2008年3月期の中間決算である2007年4月~9月期の数字を見てみると、売上高、利益とも今回とほぼ同水準だ。当時の想定為替レートは119円だったが、現在は99円となっている。当時よりも17%ほど円高であるにもかかわらず、同じ売上げと利益を出しているわけだから、より為替に左右されにくい体質になっていることが分かる。
 また海外生産比率は当時も今も、ほぼ同じで52%前後だが、輸出の比率は30%から23%に低下している。つまり生産面でのグローバル化に加え、現在では販売面でのグローバル化も進んでいることになる。一般に輸出比率が高い方が為替の恩恵を受けやすいことを考えると、やはり同社は以前より高収益体質になっていると考えてよいだろう。

  このようにして見てみると、円安のメリットを享受できる企業は、十分な競争力がある会社に限定されることが分かる。トヨタをはじめとする自動車メーカー各社は下請け企業に負担を押し付け好業績を確保しているという批判もあるが、ある程度、製品に付加価値がないと下請けへの負担転嫁すら難しい。付加価値が低い企業はコストダウンの余地が少なく、円安になっても、利益率を向上させることができないのだ。今回のトヨタの業績向上は、とりあえず素直に評価してよい内容といってよいだろう。

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