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家計の金融資産は1年で3割近くも減少。厳しい現実に庶民が身を守る方法はあるのか?

 

 日本人はますます貧乏になっている。多くの人が何となく感じていたものは、やはり現実だった。日銀が事務局を務める金融広報中央委員会による調査結果は少々ショッキングな内容だった。貯蓄がますます難しくなる環境で、個人はどのようにして身を守ればよいのだろうか?

 同委員会が11月7日に発表した調査によれば、2人以上の世帯における預金や株式など金融資産の平均値は1101万円となり3年連続の減少となった。
 ここで預金などの平均が1000万円というとピンとこない人も多いだろう。それもそのはずで、平均値は金額が大きい人がいるとその人に引っ張られてしまうという特徴がある。一種の統計マジックだ。
 現実的な感覚にもっとも合っているのは中央値の方であり、こちらは330万円となっている。家族を持っている世帯の貯金が330万円と聞けば、何となく合点がいく数字である。
 ところが昨年の金額はなんと450万円であった。つまり、たった1年間で27%も貯金が減ってしまったのである。これは給料の引き下げ、失業などの理由で貯金を取り崩している人たちが多いことを示している。

 調査対象となった世帯の中で、金融資産がゼロ円と回答した世帯の割合は31%で前回の26%から大きく上昇した。さらに深刻なのが、世帯年収が1000万~1200万円という比較的高額な所得を得ている世帯で貯蓄ゼロの割合が急増しているという現実である。これは高額な住宅ローンを組んでしまったり、高級車や子供のお受験などが重なり、収入が減少してもこれまでの生活を変えられない人が増えていることを示している。

 安倍政権は財界に対して何度も賃上げを要請しており、大手企業の一部はこれに応じる構えを見せている。賃金が上昇すれば、苦しい家計も何とかやりくりできると期待している人も多いかもしれない。だが賃上げについてはあまり期待しない方がよい。

 2013年9月の中間決算では、製造業を中心に比較的良好な決算となる企業が目立っている。これは円安の効果によるものと思われるが、円安は売上げや利益の絶対値を上昇させるものの、利益率にはあまり貢献しない。企業は全体の収益力が向上しないと、給与の増額までは踏み切れないのだ。
 さらに問題なのが、円安による輸入価格の上昇でインフレが始まりつつあるという現実である。この状況で、仮に賃金が上昇してしまうと、さらにインフレが加速する可能性がある。日銀による量的緩和もこれを後押しするだろう。ひとたびインフレが始まってしまえば、賃金の上昇以上に物価が上がるので、実質的には賃下げに近い状態になってしまう。

 結局のところ、経済が順調に回り始めない限り、実質的な給与は増えないのである。貯蓄の減少は実は以前から始まっている。最初は若年層が多い単身世帯が中心であったが、これが2人以上の世帯にも及んできている。最後は日本でもっともリッチな高齢者層においても貯金の取り崩しが始まるだろう。
 そうなってしまうと、日本全体としては、設備投資を抑制するか、財政赤字を縮小させるか、あるいは経常収支を赤字にするしか道はなくなる。設備投資の抑制は経済成長にマイナスとなり、財政赤字の縮小は家計の負担増大を意味する。あまり夢のない話になってしまうが、この状況から身を守るためには、とにかくムダな支出を切り詰め、副収入を得るなどして、貯金の取り崩しを回避するしかない。

 家計の三大支出は、家と自動車と保険である。これ以外の項目で細かい節約をしてもあまり意味がない。収入の最大化と支出の極小化。身を守るには残念ながらそれがベストの方法のようである。これからは、家族全員が何らかの収入得られるよう努力し、ムダな支出のないシンプルな暮らしをすることが重要となるかもしれない。

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