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製造業の設備投資がようやく回復基調に。だが実態は米国景気に依存した綱渡り

 

 内閣府は11月13日、9月の機械受注統計を発表した。主要指標である 「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)は前月比2.1%減の8021億円となった。内訳をみると製造業が4.1%増加したのに対して非製造業は7.0%減少した。これまで設備投資をリードしてきた非製造業に一服感が出るとともに、低迷が続いてきた製造業に改善の兆しが出てきた。

 機械受注統計は民間設備投資の先行指標といわれており、多くの関係者が注目している。2012年は製造業でマイナスが続き、非製造業は横ばいという状況であった。2013年に入り、大型の公共事業が開始されたことから、非製造業の設備投資が伸び、国内の景気を牽引する形となった。
 今回、非製造業の伸びが一段落し、製造業の回復傾向がより明確になってきたことは、景気回復の主役が交代しつつあることを示している。これまでは大型の公共事業といういわゆるバラマキによる内需が中心だったが、工事の発注が一段落したことで内需に息切れが生じ、その代わりに米国の景気回復を背景にした製造業の設備投資が増えてきたという図式である。

 非製造業の業種別の内訳を見ると、建設業、農林水産業、不動産業といった公共事業の恩恵を受ける業種が軒並み下落する一方、卸売業や通信業など民間の依存度が大きい業種では増加となった。
 製造業ではこれまでのところ、自動車がすべてを牽引する状況だったが、自動車はマイナスとなる代わりに、精密機器やITなどが大きく伸びた。米国の景気回復が自動車以外の業種にも波及してきた可能性が高い。

 製造業に回復の兆しが出てきたことはよいニュースだが、今後の継続的な景気拡大という点からすると、課題は山積している。これまで多くの人が薄々感じていたはずだが、安倍政権発足後、景気が回復しているように見えるのは、大型の公共事業の効果が大きかったからである。予算バラマキは即効性はあるが、成熟国家となった日本では、もはや持続的な景気拡大をもたらさないことは明らかである。財政という観点からもバラマキを継続することは不可能だ。
 一方、製造業が回復してきているのは政策による効果ではない。あくまで米国を中心とした世界景気の動向に大きく左右されている。現在の日本には世界経済を動かす力はなく、世界の景気に引きずられる側である。今後、製造業の設備投資が継続して増加するのかは、すべて米国の景気動向にかかっているといっても過言ではない。

 安倍政権では、消費税増税後の景気落ち込みを防ぐため、来年度も大型予算を組み、バラマキを継続する方針である。当初、政権では、大型公共事業で景気を刺激し、財政支援によって製造業を回復させる方針であった。だが製造業は思ったような回復を見せず、大型公共事業は世界経済が回復するまでの時間稼ぎの方策となってしまっている。財政問題が顕在化する前に、世界経済が回復軌道に乗らなければ、このシナリオは一気に崩れてしまう危険性をはらんでいる。

 期待されていた成長戦略では目立った成果はなく、日本経済はひたすら米国の景気回復を祈る状況となってしまっている。

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