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英連邦やイベロアメリカ連合は国際政治の補助線として今も機能している

 

 英国と旧英国領約50カ国が加盟する英連邦首脳会議が11月15日、スリランカのコロンボで開催された。開催国であるスリランカによる少数派民族タミル人への人権侵害が批判され、カナダやインドが欠席するというトラブルもあったが、無事3日間の日程を終えた。

 英国はとっくの昔に覇権国としての地位を失っており、英連邦首脳会議が国際政治の場で大きな力を持っているわけではない。
 だが今回の会合ではシンガポールの経済モデルが紹介され、加盟各国がこれを参考にするなど、英国を中心とした緩やかな情報ネットワークが形成されている。
 旧植民地を中心とした国際ネットワーク作りは、フランスやスペインなども行っており一定の成果を上げている。国際政治や経済に関する一つの補助線として、注目する価値はある。

 英連邦は英国を中心とする緩やかな国家連合である。カナダやオーストラリアのように、現在でも英国君主を国家元首とする王制の国ばかりではなく、植民地から独立し現在では共和制となっているアジアやアフリカの国々も含まれている。組織としてはかなり緩いもので、アフリカのナイジェリアのように何度も加盟したり脱退する国もある。オーストラリアは共和制への移行が議論されているものの、英連邦には積極的に関わっている。こうした緩いネットワークの構築は、覇権を失いユーロにも参加していない英国が、外交的パワーを維持するためのひとつの方策になっている。

 同様の制度はフランスやスペインにも見られる。フランスが提唱しているフランコフォニーは、フランス語圏を中心とした国際ネットワークだが、こちらは英連邦よりもさらに緩い。フランスの旧植民地が中心ではあるが、中にはポーランドなどフランス語とも旧植民地とも関係しない国が多数加盟しているほか、ルワンダのように英連邦と掛け持ちしているところもある。
 スペインはポルトガルとともにイベロアメリカ首脳会議を主催している。イベロアメリカ連合は、スペインとポルトガルの旧植民地を中心としたネットワークで、中南米の多くの国が参加している。中南米は当然米国の影響が非常に強い地域だが、ベネズエラのマドゥロ政権のように公然と反米姿勢を表明している国もある。そのような中、イベロアメリカ連合は、米英とは一線を画した欧州との関係性を演出する役割を担っている。
 またスペインの大手金融機関の多くが南米に進出しており、経済金融危機に苦しむスペインの重要な収益源となっている。言語、文化が類似していることによる経済的なつながりは日本人が想像しているよりも強い。

 旧宗主国を中心とした国際関係は、決して政治の表舞台には出てこないが、時として有力な補助線として機能することがある。日本も各国のこうした動きに対してもう少し関心を高めてもよいだろう。

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