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内閣府が災害対策のガイドライン見直しへ。日本で想定外のことばかり起きる理由とは?

 

 内閣府は、避難勧告や避難準備情報などを出す場合に自治体が参考にするガイドラインの内容を見直すことを決定した。2013年10月に伊豆大島で発生した大規模な土砂災害において町が住民に避難を呼びかけることができなかった事態を受けた措置だという。
 日本ではなぜかいつも「想定外」の事態ばかりが発生し、そのたびにガイドラインやマニュアルが整備される。だが、次の災害時には「想定外」の事態が再び発生するということの繰り返しになっている。
 日本の危機管理能力のなさについては、以前から指摘されているが、その原因はマニュアルの未整備にあるわけではない。もっと根本的な部分での認識欠如が関係している可能性が高い。この部分を変えられなければ、いくら立派なガイドラインを作っても、同じ結果になりかねない。

 伊豆大島で発生した土砂災害では「土砂災害警戒情報」や「記録的短時間大雨情報」などが大島町に伝えられたものの、結局、住民の避難に役立てることはできなかった。
 現状のガイドラインでは、土砂災害において「避難勧告」を出す目安は、前兆現象が起きた場合などと記されているが、それより前に出す「避難準備情報」もほぼ同じ基準となっており、違いが分かりにくいという。またガイドラインには2013年の8月に導入された「特別警報」については記載がなかったという。

 内閣府は、より分かりやすい目安を検討し、今年度中に新しいガイドラインをまとめるとしている。だが、大島町でうまく避難勧告が出せなかったのは、ガイドラインの内容が著しく分かりにくかったからであるとは考えにくい。もっと根本的な部分に原因がありそうだ。
 大島町では、災害時には町長が対策本部長を務めることになっていたが、島根県で開かれた会議のため当日は不在にしており、副町長も出張で島を離れていたという。住民からは家屋が倒壊したというような情報が寄せられていたが、下手に勧告を出せば、人的被害が拡大する恐れがあると職員が判断し具体的な避難指示は出さなかったという。また町長は「砂防ダムなどの整備も進めており、対策に過信があった」とも話している。

 これらを総合すると、町として災害時にどのように対応すべきなのかという、基本的なポリシーが欠如していた可能性が浮かび上がってくる。町を離れた町長には批判の声が寄せられているが、非常時にトップが不在であることは起こり得ることであり、そのことだけを責めても意味がないことは明らかである。いくら立派なガイドラインを整備したところで、100%それに当てはまる事態が発生するとは限らない。このままでは、新しいガイドラインが出来上がっても、想定外の事態が発生すれば、また立ち往生してしまうだろう。

 災害という非常時に公務員が先頭に立って対処するというのは、ある意味で最大の矛盾であるともいえる。公務員の仕事というのは究極のルーティン・ワークであり、彼等は臨機応変の仕事をもっとも不得意としている。そのような人材が究極の災害時に臨機応変に対応しなければならないのである。

 災害時には想定外のことばかり発生するのはある意味で当然のことであり、こうした事態への対応がうまくいくかどうかは、普段からそういった状況にどれだけ「場慣れ」しているのかが重要なカギとなる。
 例えば、宅配会社や大規模小売店では、毎日がちょっとした非常事態のオンパレードである。顧客からのクレームや荷物の誤配、天候の急変、急病人など、致命的ではないものの、常に臨機応変な対応が求められる。
 東京都内に住むOさんは、日本橋にある老舗百貨店の対応には驚かされたという。ある日、Oさんと父親は一緒に買い物をするために百貨店を訪れたのだが、高齢の父親が突如体調を崩し倒れてしまったのだ。気がつくと、あっという間に目隠しの幕やタオル・水などの装備が用意され、救護班が到着、救急車が呼ばれてきたという。人はどこで倒れるか事前に予想はできず、店員も正社員からテナントのアルバイトまで様々である。だがこの百貨店は、ごくわずかな時間にこれだけの対応をやってのけている。
 東日本大震災の発生時における物流企業や小売店の対応は総じて迅速であったが、これは、立派なガイドラインがあるからではなく、従業員が普段からこうした非常事態への対処方法について体で覚えているからである。

 災害時の対応というものは「官」が行うべきものという先入観があるが、決してそうではない。こうした災害時の対応策にこそ、民間の知恵や人材の活用が求められているのだ。
 自治体にはそれぞれ地域ごとに特色があり、中央政府が一律にマニュアルを作ってもあまり意味がない。災害対策のノウハウや人材は実はあちこちに存在している。地域に合った現実的な具体策を、多くの人の知恵をコーディネートして作り上げていくことこそが自治体の仕事といえる。またそれを最終的に判断するのは、政府でも公務員でもなく、住民自身である。

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