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シェールガス革命で日本の製造業が次々に米国進出。期待される日本の国際収支への貢献

 

 米国ではシェールガス革命の進展によって、世界最大のエネルギー輸出国に変貌しようとしている。関連する日本企業も次々と米国に進出しており、米国市場は日本の製造業にとってあらたなフロンティアになりつつある。

  プラントエンジニアリングの日揮は2013年10月、米シェブロンフィリップス・ケミカル社が計画しているテキサス州の大型エチレン製造プラントの建設を受注した。受注総額は2000億円規模に達する見込み。
 同社の売上高は約6200億円であることを考えると、かなりの大型受注であることが分かる。またこれまでの受注の多くは、アジアと中東に集中しており、もし今後も同様のプロジェクトを北米で受注できれば、同社の業容拡大に大きく貢献することになる。

 同様のプロジェクトは米国で多数進められており、日揮のライバル企業である千代田化工もいくつかの案件の受注に成功している。またこれまでLNG(液化天然ガス)プラントには進出していないかったIHIが、米東部メリーランド州コーブポイントのプロジェクト受注に成功している(写真)。

 これらの背景にあるのは、米国のシェールガス革命である。シェールガスは岩盤層に含まれる天然ガスのことで、近年、新しい採掘技術が相次いで開発されたことにより安価な供給源として注目が集まっている。米国にはシェールガスが大量に埋蔵されており、国際エネルギー機関(IEA)は2035年までに米国はエネルギーを完全自給できるようになるとの予測を発表している。
 米国ではLNGの輸入を目的に建設された施設を、今度はLNGの輸出基地に変更するプロジェクトが多数進行している。またシェールガスの大量採掘によってエチレンの原料であるエタンの価格も下落している。これによって、エチレンの製造工場が次々に米国に戻ってきている。

 日揮の案件は、米国に戻ってきたエチレン製造プラントの受注であり、IHIの案件は、日本へのLNG輸出に伴うものである。IHIが受注したコーブポイントのプロジェクトには、住友商事が関与しており、製造されたLNGは最終的に東京ガスや関西電力に販売されることになる。このほか、日本の化学メーカー各社も米国での工場建設を検討している。

 日本はかつてのように輸出で利益を上げる段階は過ぎ去り、海外市場への直接投資とそれによる収益が経常黒字を支えている。製造業の海外直接投資といえば、アジアや中国が定番であったが、信頼性の高い米国市場が有力な投資対象となってくることは日本企業にとって非常に望ましいことといえる。米国への本格進出を行う企業が増えてくれば、日本の経常黒字は当分安定的に推移させることができるだろう。

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