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イランの核問題で暫定合意に到達。本格合意なら、国際秩序の変化がさらに加速

 

 イランと欧米中露6カ国は11月24日、イランの核問題をめぐる協議で合意に達した。イランがウラン濃縮を制限する代わりに経済制裁の一部を解除する。米国との数十年にわたる対立が解消され、国際政治の枠組みが大きく変わる可能性が出てきた。

 イランと米英独仏中露の6カ国は、スイスのジュネーブにおいて4日間にわたる交渉を行った。
 この結果、イランは6カ国が求めていた20%濃縮ウラン備蓄の無力化、5%ウラン濃縮活動の停止、核施設への査察などの条件を受け入れた。その代わりに6カ国は対イランの禁輸措置の一部(約70億ドル)を解除する。
 一方、原子力発電に用いることが想定される低レベルのウラン濃縮についてはイランは継続して実施することができる。合意は6カ月の期限付きで、その間に恒久的な合意に向けて協議を継続する。

 イランと米国は過去数十年にわたって対立を続けてきた。イランのアフマディネジャド前大統領は、反米姿勢をさらに強化、独自の核開発を宣言し、米国との関係はさらに悪化していた。だが2013年8月、穏健派と呼ばれるロウハニ大統領が就任、米国との敵対路線に変化が生じてきた。米国とイランはここ数ヶ月、秘密裏に交渉を続けてきたといわれており、その結果が今回の合意ということになる。

 ただ表面的な対立とは正反対に、イランと米国の合意は時間の問題であったと考えることができる。米国はシェールガス革命によって石油の自給が可能となりつつあり、オバマ政権は基本的に中東問題にこれ以上関与することを望んでいない。シリアに対する空爆をあらゆる手段を使っても回避したことからもそれは明らかである。だが国内には親イスラエルの政治団体や軍需産業の一部など、中東への関与を引き続き強く望む勢力があり、こうした勢力との政治的駆け引きが続いていた。
 
 イラン側も同様である。イランはかなり以前から米国との敵対路線を変更し、経済成長を優先させる政策に舵を切ろうとしていた。だが、国内には米国やイスラエルに対する強硬的な意見も根強く、調整に時間がかかっていた。
 イランは権力構造が複雑となっており、大統領がすべての権限を握っているわけではない。宗教指導者であるハメネイ師がもっとも大きな権力を握っているといわれているが、穏健派のロウハニ大統領はハメネイ師の支持を後ろ盾に大統領に就任している。米国との対話路線は、ハメネイ師によって周到に準備されたものと考えてよいだろう。

 今回の合意は6カ月という暫定的なものだが、もしイランと各国が最終的な合意に達すれば、国際政治や世界経済に大きな影響を及ぼすことになる可能性が高い。

 イランが独自の核開発をやめれば、米国は中東への関与をさらに減らし、アジア太平洋地区へのシフトを強めることになる。またイスラエルの孤立がより鮮明となり、中東でのイスラエルの存在感はさらに低下する。これによって対立の火種は抑制されることになり、地政学的リスクは一気に後退することになる可能性が高い。
 この状況は原油価格の安定につながり、世界経済に対してプラスの影響を与えることになるだろう。またイランは民生用の原子力開発は継続することになるので、イランは欧米や日本から大型軽水炉を導入する可能性が高くなってくる。関連企業にとっては大きなビジネスチャンスとなるだろう。

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