ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

コマツの中間決算を見れば分かる、世界経済の動向と今後の課題

 

 世界景気、特に新興国の投資需要の減衰が顕著になってきている。先進国では米国が堅調な回復を見せており、欧州景気も最悪期は脱している。だが欧州はインフレ率が低下しており、めざましい回復が望める状況にない。全世界が米国の景気に依存する構造になっており、世界経済全体で見れば、しばらくの間、停滞が続く可能性が高い。

 日本では数少ないグローバル・カンパニーのひとつであるコマツの2013年9月期中間決算は冴えない内容であった。
 売上高は前年同期比で0.6%減の9251億円、営業利益は2.1%減の1090億円にとどまった。
 同社はすでに10月の段階で通期の予想を大幅に引き下げており、売上高は前期比1.3%減の1兆8600億円、営業利益も0.8%減の2100億円になる見込みだ。同社の株価は業績見通しの発表後、6%近く下落したままとなっている。

 株式市場ではちょっとしたコマツ・ショックとなったわけだが、コマツの業績下方修正は、驚くべきことではない。コマツに先行する建機トップ・メーカーである米キャタピラーの2013年7月~9月期決算が前年同期比で大幅なマイナスとなっていたからだ。
 世界の建機市場はトップのキャタピラーに2位のコマツが続く構図となっている。建機は建設需要があるところに売り込まなければビジネスにならないため、必然的にグローバル展開となる。このため世界景気の影響をダイレクトに受ける。両社の決算を見ていれば、世界経済の動向のかなりの部分が把握できる。

 コマツが2位といっても、キャタピラーの規模はコマツの3倍以上あるため、世界経済からの影響はキャタピラーの方が大きい。7月~9月期における同社の売上高は前年同月比で18%のマイナスとなり、純利益は前年同期比で44%のマイナスとなった。売上げの落ち込みがひどいのがアジア地域で前年同月比32%のマイナスを記録している。
 これは中国の建設インフラ整備がストップしたことが大きく影響している。コマツの業績見通し引き下げも中国の投資抑制によるアジアの鉱山開発需要の減少が主な原因だ。コマツはキャタピラーよりも規模が小さいので、この程度の落ち込みで済んでいるともいえる。

  ここ20年における世界経済の牽引役は新興国であった。世界GDPに占める貿易額の割合は一貫して上昇してきたが、リーマンショックを境に横ばいに転じている。世界のGDPに占める投資の割合も頭打ちになりつつある。先進国の投資はリーマンショック以降回復しておらず、基本的に新興国がその担い手であったことは明らかである。ここにきて投資が頭打ちになってきているのは、世界的に貯蓄過剰の状態になっていることが示唆される。

 先進国はすでに十分なインフラがあり、個人消費のゆるやかな拡大しか経済を成長させるエンジンにはならない。新興国がその代わりを担ってきたのだが、新興国も投資が一段落し、プチ先進国になってしまったというわけである。
 今後も世界経済が成長するためには、世界のGDPの75%を占める先進国が、個人消費を継続して拡大させていく必要がある。だがそのためには、日本やフランスなど制度が硬直化している国が、米国や英国のようにオープンな政策に舵を切っていく必要がある。だが日本やフランスは公共事業への依存度が高く、政策はむしろ内向きになっている。世界が米国の個人消費だけに依存するという構図は、かなり危ういといってよいだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

usakoyoutoukei201601
米雇用統計は大幅減だが、失業率低下と賃金上昇でインフレ圧力も高い

 米労働省は2016年2月5日、1月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農 …

nenkinportfo
公的年金の新ポートフォリオ、年間最大損失21兆円をどう見る?

 公的年金の運用が国債から株式にシフトしつつあるが、現在想定されているポートフォ …

sendaig7
G7を前に日本は八方塞がりの状況。日銀は追加緩和すらままならない?

 G7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)開催を前に、日本が八方塞がりの状況に …

abccook
携帯電話登場から約30年。ドコモとソフトバンクの立場は180度変わってしまった

 NTTドコモとソフトバンクの戦略の違いが鮮明になってきている。2013年9月の …

usakoyoutoukei201605
衝撃の米雇用統計。だが、もっとも影響が大きいのは米国ではなく日本経済

 米労働省は2016年6月3日、5月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農 …

yozawa
ネオヒルズ族与沢翼氏が資金ショートを告白。その理由は何と巨額の税金

 暴走族からネット起業家に転身し、1秒間に1億円稼ぐと豪語していた、フリーエージ …

beijing
中国のGDP鈍化で各国の株式市場が混乱。今後の中国経済をどう見るべきか?

 中国国家統計局が15日発表した1~3月期のGDP成長率をめぐって株式市場で混乱 …

no image
過去最高益。業績絶好調のトヨタが抱える、将来への深い悩み

 トヨタ自動車は2014年5月8日、2014年3月期の決算を発表した。本業のもう …

tosho02
上からの改革でROE向上を掲げる企業が急増。そのシワ寄せはどこに?

 ROE(株主資本利益率)の向上を経営目標に掲げる企業が急増している。これまで日 …

satsutaba
企業が溜め込む内部留保の還元は、アベノミクスを成功させるカギとなる

 アベノミクスに関する議論が活発化する中、企業が確保している内部留保に再び注目が …