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バブル崩壊以来続いた生保の逆ざやが解消。金利上昇で保険会社はさらに有利に?

 

 生命保険各社の業績が上向いている。主な要因はバブル期に販売した予定利率の高い商品の割合が減少し、利ざやが拡大したことと、円安の進行によって外債などの運用益が拡大していることである。
 生保はその商品の特性上、金利が上昇する利益が増加する可能性が高い。銀行は国債下落リスクに怯えている状況だが、今後、金利が上昇してくれば(債券価格が低下してくれば)生保の業績はさらに上向く可能性がある。

 2013年9月の中間決算において明治安田生命は、契約者に約束した利回りと運用利回りの差額である利ざやが564億円となり、前年同期の26億円から大幅に向上した。このほか日生など生保各社の利ざやも大幅に拡大しており、逆ざやになっているところもプラス転換が近づいている。
 保険会社は顧客から受け取った保険料と、最終的に顧客支払う保険金との差額が利益となる。保険の顧客には一定の予定利回りを提示しているため、保険料として集めた資金の運用がうまくいかないと、支払いの方が多くなってしまう「逆ざや」の状態となる。
 バブル期には比較的高い利率をうたった商品が多かったが、バブル崩壊後はデフレで超低金利が続いており、高い運用益を上げることができなかった。このためバブル崩壊以後、多くの保険会社が長期にわたって逆ざやの状態となっていた。だがバブル期に販売した商品の保険金支払いが進み、その後に契約した利率の低い商品の割合が増えてきたため、保険会社の利ざやは拡大してきている。

 保険会社の利ざやは各社が独自の算定基準で結果を公表しているので、その詳細は不明である。だが、このところの円安で運用益が拡大しているのは事実であり、逆ざやの解消が進んでいることは間違いない。
 運用益の拡大に貢献したのは、円安による外国証券の値上がりと国内株の上昇である。日本生命の9月期における運用益は約9200億円となり、前年同期の6500億円から大幅に伸びた。金額の増加分の多くは有価証券の売却益となっている。

 このところ日本国債の金利上昇リスクがたびたび指摘されるようになってきた。だが同じ金融機関でも銀行と生保ではその影響はまったく異なっている。
 銀行は預金という短期の調達手法で資金を集め、国債や融資など長期の投融資で利ざやを稼いでいる。金利が急上昇すると、預金者に払う利息が増えるが、保有する国債の金利が上昇するまでには時間がかかるため、この間の収益は苦しくなる。
 一方、生保は保険料という形で資金を集め国債などに投資をするが、加入者が死亡しないと保険金は支払われない。このため、保険料を徴収してから保険金を支払うまでには、かなりの時間差が存在することになる。この間、金利が上昇すると、運用益は増えるが、加入者への支払い金利はすぐには上昇しないため、逆に収益が増加する。資産サイドと負債サイドの回収期間の差を専門用語ではデュレーションと呼ぶ。

 このデュレーションの問題は、バブル崩壊後の金利低下局面では生保各社の経営を直撃したが、金利が上昇に転じると今度は逆に有利な状況となる。もちろん保有している日本国債が暴落するような事態となれば話は別だが、ゆるやかな金利上昇であれば、生保各社は銀行と比較して安定的な収益を上げることが可能となるだろう。

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