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スマホが幼児に悪影響という小児科医会の主張。もっと具体的な情報が欲しい

 

 全国の小児科医などで作る日本小児科医会は、乳幼児にスマホやタブレットで長時間遊ばせる行為は、健全な発達を妨げる恐れがあるとして、ポスターなどで注意を呼びかける活動を開始している。

 ポスターには「スマホに子守をさせないで!」と書かれており、本の読み聞かせや屋外での遊びを勧める一方、子どもにスマートフォンなどを渡して長時間遊ばせる行為に対しては注意を呼びかける内容となっている。このポスターは、全国の小児科の診療所などに配られ、待合室などに掲示されるという。

 NHKの取材に対して、日本小児科医会の松平隆光会長は、「スマホを子守の代わりにするような使い方は、悪影響が心配される。親子の直接的なふれあいや対話を大切にしてほしい」と話している。

 スマホやタブレット端末を長時間子供に使用させた場合に、何らかの影響があることは一般論としては正しいだろう。ただ小児科医会による啓蒙内容からは、スマホなどの使用が、幼児のどういった面に対して、どのような影響があるのか具体的な情報が得られない。

 よほど無神経な親でもない限りは、過剰なスマホ利用が子供に対して悪影響を及ぼすことは理解しているはずであり、むしろ、どういった行為が、どの程度、子供の発育に影響があるのかについて知りたいはずである。
 例えば、目の疲労など身体的面が大きいのか、心理的な側面なのか、またそれ以外の面なのか、データに基づく具体的な例がないと、保護者はこの情報を参考にすることは困難である。

 PCやスマホ、タブレットは知育玩具としての性格もあり、一概に子供の教育に悪影響を与えるとは言い難い。ITによる教育に積極的な米国では、こうしたITツールは、公共の場で子供が静かに振る舞うことを学習するためのツールとしても認識されている。長時間の連続使用が、身体的に悪影響を与えることは当然としても、効用とのバランスを含めた総合的な議論が必要だろう。

 こうした情緒的な警鐘が存在する一方、携帯電話などが発する電磁波の影響については、日本ではほとんど検証が行われていない。携帯が発する電磁波の影響については様々な見解があり、まだ結論を出す段階にはない。よく比較に出される欧州の厳しい基準が妥当なのかは不明だが、少なくとも日本では客観的なデータが不足していることだけは間違いない。

 新しい技術やツールに対しては、様々な意見が出てくることは当然である。だがこうした新しい技術に対して、情緒的に反応したり、逆に事業者側の説明を鵜呑みにすることは利用者の利益にならない。

 このような時に重要となるのは、データを用いた定量的な検証である。数字は時として大きな嘘を付くことを考えれば、より多角的な視点からの検証が必要なのはいうまでもない。そのためにこそ、多くの専門家による知見が求められている。小児科医会には、専門家として、ぜひこうした具体的な情報を提供してもらいたいものである。

 - 社会, 経済 ,

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