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財務省が来年度、物価連動債の発行を倍増の予定。財務相は火消しに躍起

 

 将来的な金利の上昇が予想される中、物価連動債の発行増額が話題となっている。財務省が物価連動債の発行増額を検討しているとの報道を受け、麻生財務大臣は12月3日、「増やすとも減らすとも、まだ決めている段階ではない」と火消しに回った。物価連動債は今後の財政を左右する微妙な問題だけに、関係者は神経質になっている。

 物価連動債は、物価の動きに応じて元本が変動する国債のこと。
 インフレが進み物価が上昇すると、通常の国債を購入した投資家は損をしてしまう(10年後に元本が返済されても、その時に物価が2倍になっていれば、実質半額になってしまう)。日本は今後、インフレになる可能性が高いので、投資家は物価に連動して元本の返済額が増える商品の方が安心して投資できる。

 ただ財務省にしてみると、物価連動債への切り替えは非常に微妙な問題となる。日本政府は現在、700兆円を超える莫大な借金を抱えている。物価が上昇すれば実質的な返済額が減少するため、財政再建という意味ではあまり物価連動債を発行したくない。
 だが、物価連動債を発行しないと、日本の国債を積極的に購入する投資家が少なくなる可能性がある。国債の消化余力に疑問符が付くようになってしまっては、金利が急上昇するリスクが高まり、財政再建どころではなくなってしまう。財務省としては、両者のバランスをうまく取りながら、物価連動債の導入を徐々に進めていきたいというのが本音だ。

 報道では、2013年度に6000億円だった物価連動債を2014年度には倍の1兆2000億円に拡大する予定だという。現在、日本政府は借り換え債も含めると年間170兆円もの国債を発行している。全体の規模からすれば、仮に来年度、発行額が2倍になったとしても、それはごくわずかな割合でしかない。

 ただ諸外国では、英国のように20%以上が物価連動債になっているところもあり、日本も日銀が物価目標の提示を開始したことを考えると、投資家側からのリクエストが高まってくる可能性は高い。一方で、物価連動債をあまり積極的に宣伝しすぎると、インフレを容認していると捉えられる可能性もあり、取り扱いが非常に難しい。
 金利の動向や投資家の受給動向などを見据えながら、微妙な綱渡りが今後長期にわたって求められることになる。

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