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OECDの学力調査。ゆとり教育見直しの結果、順位は上昇したが・・・・

 

  OECD(経済協力開発機構)は12月3日、世界65カ国(地域)を対象とした2012年における学習到達度調査(PISA)の結果を発表した。
 日本は、数学的応用力の分野で7位、読解力と科学的応用力で4位となり、前回調査から順位を上げた。学力低下が問題視され、ゆとり教育が見直されたが、その成果がそのまま反映された形だ。

 PISAは、65カ国の15歳の生徒、約51万人を対象に3年ごとに実施している。
 日本は2003年の調査で順位が急落、2006年の調査では過去最低(数学的応用力10位、読解力15位、科学的応用力6位)となった。国内では学力低下を危惧する声が上がり、いわゆるゆとり教育の見直しが始まった。

 今回の調査結果をそのまま受け止めれば、ゆとり教育を見直し、授業時間数を増やしたことが、順位を上げたということになる。
 ゆとり教育の見直しで、実際に授業時間が増えたのは2008年からであり、2006年からPISAの順位が上昇に転じたことを考えると、学校における授業時間の増加が直接的な原因とはいえない可能性もある。ただ、学力低下を危惧して学校が独自に補習に取り組んだり、塾に行かせる家庭が増えた可能性は高く、やはり総時間数の増加はそのまま順位の上昇につながると考えた方が自然である。

 ちなみに、日本より上位に位置している国・地域は、上海(中国)、シンガポール、香港(中国)、台湾、韓国、マカオ(中国)であり、漢民族系のアジアの国や地域が独占している。これらの国々は日本と同様、いわゆる詰め込み型の暗記教育を重視しており、その結果が如実に反映されている。

 もっとも、上海の結果は少々、異常ともいえる水準である。PISAでは学習到達度レベルを6段階で評価しているが、数学的リテラシーのベースラインとされるレベル2以下に属する生徒の割合は、上海では3.8%しかいない(日本は11%)。またレベル5以上の生徒の割合は55%を超えているが、日本は23.7%である。欧米各国では、レベル2以下の割合は20%台、レベル5以上の割合は10%台というところがほとんどであることを考えると、上海の数値は突出している。尋常ではない猛勉強を強いているか、サンプルの抽出が恣意的である可能性がある。

 ちなみにレベル2の問題は、「2カ月の間に富士山に登った人の数は2万人でした。1日平均でおよそ何人が登山しているでしょうか?」といった内容である。リテラシーが高いとされるレベル5は、「御殿場から富士山の山頂までは9キロあります。登りは平均時速1.5キロ、下りは平均時速3キロになります。午後8時までに御殿場に戻ってくるためには、何時に出発する必要がありますか?」といった内容である。レベル5は、平均速度の理解や時間の逆算など複数の要素が関係するため、難易度が高くなっている。

 こうした数学的能力は、大量生産を行う工業国にとっては非常に有益な効果をもたらすはずである。だが以前から指摘されている通り、独創的なアイデアやビジネスモデルの創出には必ずしも結びつかないとの見解もある。実際、こうした高付加価値な産業を特異とする欧米各国は、一様にこれらの能力が低い。
 一方で、日本が今後も大量生産の工業国としてやっていくには、日本より上位に位置する中国や韓国の詰め込み学習と勝負しなければならない。

 とりあえず授業時間の増加で学力低下には歯止めがかかった。だが、こうした詰め込み型教育で、中国や韓国などの新興国と争うのが本当に正しい道なのかという、以前から議論されていた課題に逆戻りしてしまった印象もある。

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