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米国の雇用は急回復。焦点は長期失業者対策にシフトしつつある

 

 米労働省は12月6日、11月の雇用統計を発表した。代表的な項目である非農業部門の雇用者数(季節調整済み)は前月比で20万3000人の増加となり、先月に引き続いて20万人を超えた。また、失業率は先月の7.3%から7.0%に低下し、雇用市場の改善がより鮮明になった。
 米景気の回復についてはほぼ完全にコンセンサスが得られつつあり、焦点は長期失業者対策という問題に移ってきている。

sitsugyou02  米国では毎月20万人程度の新規雇用が生まれることが、経済が順調に推移しているひとつの基準といわれている。
 2012年の平均は毎月18万人程度だったので、20万人という水準が今後も継続すれば、米国の雇用環境は大幅に改善することになる。失業率もこれを反映して7.3%から7.0%に大幅に下がった。

 11月は米国の政府機関閉鎖で一時解雇となった職員が復職することで、失業率が下振れするといわれていた。確かのその影響はあるが、民間各部門の雇用が大幅に増えており、失業率の低下はその影響だけではないことが分かる。これまで米国経済の回復については懐疑的な見解もあったが、今回の発表でかなり雰囲気が変わってきた。むしろ焦点は、労働市場から事実上閉め出されている長期失業者への対策をどう進めていくのかに移りつつある。

 米国では失業後、職探しを諦めてしまった人が400万人ほどいるといわれている。定期的に職業安定所に通わない人は失業者にカウントされなくなる。このため失業率が低下しても、長期率業者が減らなければ、雇用環境が完全に回復したとは言い難い。
 米国政府は、リーマンショック後の時限措置として、失業保険の給付期間が終了した人にも、引き続き失業保険を給付する制度を導入していた。だがこの制度は年内で期限切れとなり、この延長について大きな議論となっている。

 給付延長を主張しているオバマ政権やリベラル系の政治団体などは、給付を打ち切れば貧困者が増えるとともに、個人消費が低迷するとしている。一方保守系の団体は、失業保険の給付が続くと、失業者が賃金で妥協しないため、結果的に失業を長引かせると主張し、真っ向から対立している。
 11月の雇用統計では、これまで増加傾向が続いてた長期失業者数が減少に転じた。雇用者数が大幅に伸びたことなどから総合的に判断すれば、給付延長の期限切れを前に、賃金で妥協して多くの人が就職した可能性が高い。少なくとも短期的には、給付を打ち切った方が効果があるという保守系の主張を証明する形となった。

 ただ給付を打ち切った方が長期的にも効果があるのかについては、現時点では何ともいえない。長期失業者が就職できないのは、仕事のIT化やロボットが進み、以前に保有していたスキルが通用しなくなっている影響が大きい。確かに一部の労働者は一種の贅沢で、仕事を選り好みしていた可能性があるが、本当に就職が難しい失業者が多いのもまた事実である。ここで給付が打ち切られると、彼等は一気に生活困窮者に転落してしまう。

 失業保険の給付延長となれば、毎年250億ドル(約2兆6000億円)の追加支出となる。財政再建を進めている米国では歳出削減に対する要求が強く、この問題は政治的な駆け引きも絡んで、しばらくの間、論争の的となる可能性もある。

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