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消費増税をにらんだ5.5兆円経済対策の効果は一時的

 

 政府は12月5日の臨時閣議において、消費増税に対応した5.5兆円の経済対策を決定した。現在、増税を前に下駆け込み需要が活発となっており、増税後はその反動による影響が大きくなる可能性が指摘されている。今回の経済対策はこれを和らげる効果が期待できる。だがこの景気対策でカバーできるのは、あくまで駆け込み需要の反動減であり、この対策が長期的な成長に寄与するかは不透明である。

suga03 増税が経済に与える影響については、長期的に見れば中立とされているが、現実問題としてはそう簡単にはいかない。増税になると心理的抵抗が大きく消費が停滞する可能性が高いからだ。

 消費税を5%から8%に増税すると全体では約8兆円の税収増加となる。増税分がすべて政府支出として国民に還元されれば、増税の影響は理論的にゼロとなるが、実際に税収増につながるまでには時間的ズレがある。
 消費税における国と地方の配分は4対1なので、理論上は3%の増税で国の税収は6.4兆円増える計算だ。だが2014年度における一般会計の税収増加分は4兆円程度と見込まれており、2.4兆円分が後年度にズレ込むことになってしまう。
 また消費税前には住宅を中心に駆け込み需要が活発となっており、7月~9月期のGDPが好調だったのはこの影響が大きい。消費税が増税されればこれらの需要はなくなるので景気は一時的に冷え込むことになる。景気対策が先行して実施されれば、こうしたタイミングのズレや、反動による需要減をカバーしてくれるということになる。

 ただ問題なのは、今回の経済対策があくまで消費増税による反動減への対応策でしかないという点である。長期的な経済成長に寄与するのかについては二つの点で疑問がある。
 ひとつは経済対策の規模である。今年の2月に成立した補正予算には、総額10兆円の経済対策が盛り込まれていた。今回、政府が消費増税を決断した根拠となっているのは4~6月期のGDP(国内総生産)成長率なのだが、この数字は年率換算で3.8%と非常に良好なものであった。これは、年初に決定した10兆円の景気対策の効果が極めて大きい。
 今回の景気対策を前回と比較すると、金額面において大きく見劣りしている。来年以降は超大型の予算措置がなくなってしまうので、景気が落ち込む可能性が高い。

 また経済対策の内容にも問題がある。今回の経済対策は主に、競争力強化策、女性・高齢者対策、復興防災、低所得者対策の4種類で構成されている。ただ総額5.5兆円のうち、3.1兆円は いわゆる典型的な公共事業(震災復興含む)であり、1.4兆円の競争力強化策の中にも、東京オリンピックを前提とした施設整備や都市インフラの整備が含ま れている。全体のうちかなりの割合が公共事業で占められているのだ。

 7月~9月期のGDP成長における官需の割合はすでに30%に達しており、日本経済は完全に公共事業に依存する体質となっている。公共事業は実施した年にはその金額分の効果があるが、日本はすでに成熟国家となっており、公共事業が長期的な成長には寄与しなくなっている(乗数効果の消滅)。これは旧自民党政権の時に証明済みであり、そもそも小泉改革は公共事業が無意味であるという前提からスタートしたものだ。
 政府もそのことはよく理解しており、今回の5.5兆円の経済対策の効果はGDPの1%程度と算出している。現在の日本のGDPは約500兆円であることを考えると、景気対策から波及するプラスアルファの効果は想定していないということになる。

 安倍政権は消費税増税という大きな政治的ハードルは越えたが、来年度は、消費税10%増税に向けた次のハードルがある。景気を持続させるためには、現在編成作業が大詰めを迎えている来年度予算を概算要求通りに大型のものにするのか、あるいは増税見送りという決断も視野に入ってくることになるかもしれない。

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