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2014年度予算編成作業が大詰め。焦点は税収上振れ分の取り扱い

 

 2014年度予算の編成作業が大詰めを迎えている。自民党への政権交代によって、大型の公共事業が復活したことから、いわゆる族議員による予算獲得が活発になっている。表面的には財政再建を優先したい財務省と族議員との攻防ということになるが、今のところ、族議員に軍配が上がりそうな雰囲気だ。だがこの図式にはちょっとしたカラクリも見え隠れする。

mof02 財務省は消費税10%増税を見据えており、来年度の景気をできるだけ失速させないよう、今回の予算では妥協する可能性が高いと見られている。
 だが実際には、税収見込みの上振れが予想されており、与党側の要望をある程度受け入れても、財政収支目標の達成は可能ともいわれている。税収の上振れという「臨時収入」をめぐって、政府与党内の駆け引きが続いているのだ。

 政府は12月5日に開催された経済財政諮問会議において、2014年度予算編成の基本方針案を提示した。この中で政府は、基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2014年度は少なくともマイナス19兆円とし、一般会計の当初予算において4兆円を上回る収支改善を図るとしている。

 2014年度予算の概算要求では、従来型の要求額に加えて「要望額」と呼ばれる景気対策のバラマキ予算が別枠で設定された。この部分を合算すると、各省の要求総額は前年度比でプラス4兆円の74兆円に達する。基本方針を額面通りに判断すれば概算要求から4兆円を削減する必要が出てくる。

 与党にしてみれば、政権交代後初めての本格的な予算編成であり、いわゆる族議員による予算の獲得合戦が激しさを増している。このような環境で4兆円を削減することは容易ではなく、このことが大型予算になるという見通しの根拠となっている。だが、政府内部には族議員の動きとは別に、大型の公共事業を実施しなければならない事情がある。
 それは日本経済が完全に公共事業依存体質になっていることである。12月9日には7月~9月期のGPD改定値が公表されたが、実質GDP成長率は年率換算で1.1%と速報値の1.9%から大幅に下方修正された。このうち公共事業を中心とした官需が占める割合は50%に達しており、日本経済は、公共事業を継続しないと景気が失速してしまう状況に陥っている。

 今年は消費税8%への増税を何とかクリアしたが、来年には10%増税に向けた政治判断が控えている。政府としては、何としても来年の景気失速は避けたいところである。
 今年の景気は年初に決定した10兆円の大型経済対策が下支えとなっているが、政府が5日に発表した5.5兆円の景気対策はその半分の規模であった。このままでは今年度と同じような景気を維持できるのかは不透明な状況だ。政府としても、大型の予算を容認するメリットがある。

 だが、これによって4兆円の財政収支削減は見送られるのかというとそうでもない。4兆円とはあくまでも当初予算からの比較であって、実際の2013年度の財政収支はもっと改善している。2013年度の税収は当初見込みでは43兆円程度だったが、最終的には45兆円強に上振れしている。2014年度も2.6%程度の名目成長率が実現できれば、税収は約49兆円となり、最終的には約2兆円の減額で済む可能性があるのだ。要望枠は約3.5兆なので、この部分の減額は1.5兆ということになる。

 財政収支目標を達成できるのかは、予算の額よりも税収の見込みをいくらにするのかに大きく影響してくる。12月末の政府案決定に向けて、大詰めの交渉が続く。

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