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武田が外国人を次期社長に指名。外国人トップはうまくいかないというジンクスを覆す?

 

 武田薬品工業は11月30日、英グラクソスミスクラインでワクチン事業を統括してきたクリストフ・ウェバー氏をトップに迎える人事を発表した。武田は国内で唯一、グローバルに勝負できる可能性をもった製薬会社と言われている。外国人社長の起用でグローバル化をさらに進めたい考えだ。
 ただ日本ではこれまでのところ、買収されてトップが送り込まれたケースを除いて、外国人社長がうまく機能したケースは少ない。同社が今後どのような展開を見せるのか市場関係者は注目している。

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 ウェバー氏は来年4月までに入社し、まず社長兼最高執行経営責任者(COO)に就任する。長谷川閑史社長は会長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、1年程様子を見た上で、最終的にはウェーバー氏にCEOを譲る予定だという。
 長谷川氏は、グローバルな感覚を持った経営者として知られており、政府の産業競争力会議の民間議員でもある。産業競争力会議では、解雇規制の緩和を強く主張しており、企業の競争力強化を持論としている。
 一方で、日本の製薬業界はもっともグローバル化が遅れている業界のひとつでもある。武田は国内では圧倒的なシェアを誇り、海外の売上高比率も高い。しかも経営幹部の半分は外国人である。国内の製薬会社の中では唯一グローバルに展開できる可能性も持った企業といえる。だが現実のグローバル市場において武田は10位にも入っておらず、業界トップのファイザーと比べると売上げで4倍もの差を付けられている。

 産業競争力会議では、菅官房長官が「日本の製薬業界は欧米に比べて数が多く、再編を進める必要がある」と発言する一幕もあった。長谷川氏は、業界再編など競争力強化を主導する産業競争力会議の有力メンバーとなっているにも関わらず、自身の業界が最も再編が進んでいないと皮肉を言われたわけである。それが理由ではないだろうが、長谷川氏は外国人を社長に指名し、武田のグローバル化を一気に進める方針を明らかにした。

 日本の上場企業トップに外国人が就任すること自体は珍しいことではなくなったが、買収によって親会社から社長が送り込まれたケースを除くと、うまくいった事例は少ない。特に「グローバル化を進めています」という対外的な見栄えを重視して外国人を次期社長に指名したケースでは、長続きせず辞任するパターンが多い。

 グローバル企業を標榜していた日本板硝子は2008年、英国人のスチュアート・チェンバース氏を社長に抜擢したが、同氏は在任1年2カ月で突然辞任した。その後、2010年に社長に就任した米国人のクレイグ・ネイラー氏も1年10カ月でやはり辞任してしまった。
 このパターンの最たるものは不正会計まで明るみに出てしまったオリンパスである。同社の菊川前社長(金融商品取引法違反などの罪に問われ懲役3年執行猶予5年の有罪判決)はグローバル経営を標榜、後任社長に英国人のマイケル・ウッドフォード氏を指名した。だがウッドフォード氏は菊川氏らによる不正会計の事実を知り、菊川氏に辞任を要求したが、逆に取締役会で社長を解任されてしまった。

 これらの事例に共通するのは、取締役会や株主の意向ではなく、社長の個人的な意向が強く作用して次期社長が決まっているという点である。日本の株式会社は株主の意向はほとんど反映されておらず、ガバナンスが効いていないケースが多い。また、取締役会が存在していても、多くが社内の人物で占められており、対等な取締役として社長を監督するという機能を果たしていないことがほとんどだ。

 日本の会社の中では、会社法に定められている内容に従って行動していては、物事をうまく進めることができないとうのが現実である。だが外国人トップの多くは、こうした状況を知らないまま社長に就任することになる。新社長を指名した本人は、個人的に後継者を指名した感覚を持っているが、指名された外国人社長は、親分、子分的な関係ではなく、法律に従って行動する。このため、両者は対立してしまうことになる。

 武田は社外取締役や外国人取締役が就任しており、日本の中ではもっともガバナンスが有効に作用している企業の一つである。ウェーバー氏にうまく経営を引き継ぐことができれば、武田は名実共にグローバル企業に脱皮できるとともに、国内では非常に珍しいケースとなる。武田が真のグローバル企業なのかどうか、まさにその真価が問われているといえるだろう。

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