ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

振るわない製造業の設備投資。アベノミクスは基本戦略そのものの見直しが必要?

 

 製造業の設備投資がなかなか回復しない。内閣府が2013年12月11日に発表した10月の機械受注統計では、主要指標である 「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)が前月比0.6%増と2カ月ぶりのプラスとなったが、大きな伸びにはならなかった。
 内訳を見ると変動の大きい金融機関の設備投資が数値を大きく押し上げているほか、製造業が逆にマイナスになるなど、状況はあまりよくない。7~9月期のGDPの数値も同様であり、公共事業による瞬間的な消費に依存する姿がより鮮明になっている。

setsubitousi

 機械受注は民間設備投資の先行指標といわれており、景気の先行きを顕著に反映すると考えられている。2012年は製造業でマイナスが続き、非製造業が横ばいという状況で あった。13年に入り、大型の公共事業が開始されたことから、非製造業の設備投資が伸び、国内の景気を牽引する形となっていた。
 このところ米国景気の回復傾向が著しいことから製造業における設備投資回復が期待されていた。先月の機械受注では製造業の設備投資が大きく増加する兆候も見られたが、今月の結果を見る限り、状況はあまり変わっていないようだ。

 米国市場が今後急拡大したとしても、国内の設備投資が増えるのかについては疑問の声もある。米国はシェールガス革命でエネルギー・コストが劇的に低下しており、多くの企業が新興国から米国に工場を戻している。日本メーカーが米国市場向けの生産を拡大するにしても、現地調達、現地生産となる可能性が高く、設備投資が日本で行われる保証はない。国内での設備投資は、切り替えが難しい一部の基幹部品に限定される可能性が高いのだ。

 今後の世界経済は、新興国の失速によって、米国への依存度が高まることが予想されている。米国における工場立地条件が向上しているという現実を考えると、製造業による国内設備投資の回復を成長エンジンにするという従来の考え方はあらためる必要が出てくる。以前から言われていることだが、個人消費を活発にするための内需拡大策が最も必要とされる経済政策ということになる。
 だが現在の内需拡大策は、公共事業を中心に官需を拡大させるという正反対の方向に向かっている。7~9月期のGDP成長における官需の割合は50%に達しており、日本経済は完全に公共事業依存体質となった。

 輸出産業の復活に軸足を置いたアベノミクスのシナリオはほぼ完全に崩れつつある。成長戦略の立案が、世界経済の現状を分析した上での合理的な結論だったのか、単に輸出産業からの政治的なバラマキ要求によるものだったのかは定かではないが、現実を見据えて方向性を変えることは決して恥ずかしいことではない。アベノミクスは、そろそろ根本的な戦略の見直しが必要な時期に来ているといってよいだろう。

 - 政治, 経済 , , ,

  関連記事

lng2
米国が天然ガスの日本輸出を許可。これが経済や政治にもたらすインパクトは大きい

 米エネルギー省は5月17日、日本に対する天然ガスの輸出を許可すると発表した。テ …

chinahodokan00
尖閣問題に関する玄葉外相の寄稿に中国女性報道官が反論。だが意外にもボロを出した

 尖閣諸島問題で中国にいいように振り回されてきた日本政府だが、久しぶりに中国側を …

amiteji
歴史認識問題について日本に自制を求めるアーミテージ氏の発言をどう解釈すべきか?

 米国のアーミテージ元国務副長官が東京都内で自民党幹部と会談し、歴史認識問題に関 …

trump201603
指名獲得に近づいたトランプ候補。驚くべきことに、政策をよく見るとオバマ政権にそっくり

 米大統領選における序盤のヤマ場といわれるスーパーチューズデーで、共和党のトラン …

obuchiyuko
小渕経産大臣が辞任。脳裏をよぎる第1次安倍内閣の閣僚辞任ドミノ

 小渕経済産業大臣は2014年10月20日、自身の政治団体の収支が食い違っている …

apple
中国の販売見込みが予想を下回り、好業績だが失望となったアップルの決算

 米アップルは2014年1月27日、2013年10~12月期決算を発表した。四半 …

bspl
市場に対する宣戦布告?決算短信から財務諸表を不要とする案が急浮上

 株式市場における情報開示に関して、驚くべき議論が進んでいる。投資家がもっとも重 …

doitsushoibure
ドイツがとうとう国債の新規発行がゼロに。日本は何を学ぶべきか

 ドイツのショイブレ財務相は2014年9月9日、ドイツ連邦政府の2015年度予算 …

abe001
エコノミスト誌が安倍首相は多重人格と指摘。それは日本人全体のことを指している

 英国の経済誌エコノミストが、安倍首相が多重人格であるという記事を掲載し、ちょっ …

aseandefensemtng
ASEAN国防相会議で中国との衝突回避策が合意。アジア地域の米中主導色強まる

 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と日米中の国防相が参加する、ASEAN拡 …