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世界のあちこちに顔を出す米国政治のキーマン、マケイン上院議員に要注目

 

 米共和党の重鎮で、大統領選にも出馬した経験のあるマケイン上院議員の活躍が目立っている。マケイン氏は2013年12月15日、EU(欧州連合)への参加をめぐり混乱が続くウクライナの反政府デモに突如参加し、各国を驚かせた。デモを組織する野党勢力は、ロシアの影響が強く人権弾圧を行っている現政権を激しく批判しており、米国の有力政治家の参加に、デモは勢い付いている。

 マケイン氏は78歳と高齢であることから、大統領選でオバマ現大統領に敗れて以降、半分引退が噂されていた。だが実際はその逆で、オバマ政権成立以後も、米国の重要な政治的局面には必ずといってよいほど名前が出る活躍ぶりで、ある意味でオバマ大統領以上の政治的キーマンとなっている。今後の米国政治を見る上で、マケイン氏の動きは注目に値する。

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 マケイン氏は祖父が著名な海軍提督であり、自身も海軍出身である。このため一般的にはイスラエルや軍産複合体の意向を強く受けた保守的な政治家と見られている。イスラエルに対して冷淡といわれ、軍縮に熱心なヘーゲル氏が国防長官に就任する際には、議会の公聴会で激しくヘーゲル氏を攻撃した。またシリアの軍事介入には最後までこだわったといわれている。

 だがマケイン氏は、軍寄りの典型的な保守政治家としては区分できない多面的な要素も持ち合わせている。自身がベトナム従軍中に拷問を受けた経験から、グアンタナモ収容所など米軍の非人道的な活動には批判的だ。
 また人種問題に関してもかなりリベラルなスタンスを取っている。キューバ移民二世の若手議員ルビオ氏を、次期共和党のリーダー候補として育てており、ヒスパニック系移民の合法化にも熱心だ。

 マケイン氏の地盤はアリゾナであり、ヒスパニック系の不法移民が多い。現実的な選挙対策としてヒスパニック系の票を獲得することが重要であることをマケイン氏は誰よりも認識しており、彼の行動は徹底したリアリズムに基づいている。

 オバマ政権は二期目を迎えており、早くもワシントンでは次の大統領選挙が視野に入り始めている。ヒスパニック系を中心に、以前であればマイノリティであった層の人口が急激に増加しており、選挙での影響も極めて大きくなっている。
 次の選挙は、どういったテーマが争点になるのかまだ見極めることは難しい段階である。高齢のマケイン氏が再び大統領選に出る可能性はほぼゼロだが、同氏の言動が大統領選の候補者選定に大きな影響を与えることは間違いない。

 またマケイン氏は、在日米軍や対中国政策など、アジア太平洋地域の安全保障問題にも極めて大きな影響力を持っている。2013年8月に来日した際には、尖閣諸島問題について、「尖閣諸島は日本の領土だというのが、米議会と米政府の立場だ」とかなり踏み込んだ発言をする一方、同日に行われたアメリカンセンターのスピーチでは「尖閣諸島の現状を変更しようとするあらゆる動きに反対する」というトーンダウンした発言も行い、中国側に配慮を見せる絶妙な動きを見せた。
 マケイン氏の発言は、日米関係の今後にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。

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