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企業による国債保有の増加は何を意味しているか?

 

 企業による国債保有が増加している。背景にあるのは、企業の内部留保の増加と、投資先の不足である。日本経済の成長が見通せない中、資金を貯め込むばかりの大企業の姿が浮かび上がる。

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 投資家別の国債売買動向を見ると、事業法人は8カ月連続で国債を買い越している。特に2013年に入ってからは、買い越し額が急増しており、最近では月あたり3000億円近いペースが続いている。
 企業が国債の保有を増加させているのは、大企業を中心に資金が余り、適切な投資先を見つけることができないからである。
 政府は2013年初頭に10兆円の大型公共事業を実施するとともに、製造業に対しては多額の補助を実施してきた。これらの施策によって2013年度のGDPは実質で2.8%となる見込みだが、企業の設備投資はほとんど伸びていない。
 公共事業や補助金による瞬間風速の景気なので、企業は思い切った設備投資に踏み切ることができないのだ。現金を余らせておくわけにもいかず、消極的選択として国債を購入するという判断になっている可能性が高い。

 もう少し長いスパンで事業法人の投資行動を眺めてみると、その傾向はさらに顕著になる。資本金1億円以上の企業における公社債の保有残高はここ10年で1.4倍に増加したが、現金保有残高もやはり1.3倍に増えている。大企業は下請けへの値引き要求を強め利益率を向上させてきたが、稼いだお金はほとんど投資せず、内部留保に回してきたのである。

 国内市場が頭打ちになったとしても、海外のM&Aや自社株買いなど資金の使い道はいくらでもある。だがこうした資金の有効活用ができる企業はごく一部にとどまっているのが現状だ。こうした企業の内向きな姿勢を批判するのはたやすいが、経済全体を見たときの事情はもう少し複雑である。

 企業の姿勢が内向きで国債への投資を増やしていることが、逆に国債の消化余力の維持につながり、日本の財政危機を回避してきたという面が否定できないのである。
 日本はかつて高い貯蓄率を誇ったが、それは昔の話である。現在の日本は着実に貧しくなっており、家計の貯蓄率は低下する一方である。家計の貯蓄率が低下すると、国債の消化余力がなくなり、財政危機が表面化する危険性があるが、日本はまだそうなっていない。家計の貯蓄率が減少した分、企業の貯蓄が国債の消化を支えているのである。

 日本経済における今後の拡大が見通せなくなっていること、企業の有効な投資先が見つからないこと、逆にこれが国債市場を支えていることは、すべてウラでつながっている。だがこれは最終的な破綻へ向けたゆっくりとした歩みであり、まさに長期的な負のスパイラルである。
 本来であれば、痛みを伴う改革を行い、負のスパイラルを正のスパイラルに転換する必要があったが、日本はその選択をしなかった。近い将来、どこかのタイミングでこのシステムは持続が不可能になるはずだが、その時に被る痛みは、従来の想像をはるかに超えるものとなるだろう。

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