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需給ギャップが3期連続で縮小。日本経済復活なのか単なるバラマキなのか?

 

 内閣府は2013年12月16日、7~9月期の日本経済における需給ギャップがマイナス1.6%になったと発表した。1~3月期の数値はマイナス2.4%、4~6月期はマイナス1.7%となっており、安倍政権発足後、3期連続でマイナス幅が縮小していることになる。

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 需給ギャップは、日本経済の潜在的な供給力と需要との差を示す指標。
 需給ギャップがマイナスということは、需要が供給を下回っていることを意味している。1.6%のマイナスになっているということは、現在の日本経済には約8兆円ほど需要が足りないということになる。

 ただ、受給ギャップについて考える場合には、少し注意が必要である。需給ギャップを求める際の基準となる潜在的GDPは、現在の資本や労働の状況を、過去の水準に当てはめて計算される。つまり過去に達成した生産性がそのまま適用できるという前提に立っているのだ。
 だが需要が供給を下回っているという状況が、単なる需要不足なのか、実は経済構造の変化によって、潜在的なGDPの水準が変わってしまっているのか、判断することは容易ではない。

 現在のアベノミクスは、日本経済の基本構造は変わっておらず、現在の不況は需要不足であるという前提に立っている。このため大量の公共事業で需要を創造したり、量的緩和で実質金利を低下させることで、受給ギャップを埋めることができると考えている。
 一方、白川前日銀総裁は、このようなスタンスには立っていなかった。日本で受給ギャップがマイナスとなっているのは、単に需要不足なのではなく、日本経済の構造が変化し、新しい需要形態が生まれているにもかかわらず、既存の産業構造がこれをキャッチアップできていないと考えていたのである。
 日本経済を自立的な回復軌道に乗せるには、産業構造の再編が不可欠と考えており、これが量的緩和策をはじめとする金融政策への消極姿勢につながっていた。

 安倍政権は発足後ただちに10兆円の超大型公共事業を実施し、新規の需要を創造してきた。また、2013年12月には次年度に向けて5.5兆円の景気対策を決定した。総額96兆円が見込まれる来年度予算を合わせると、来年度は今年と同じ103兆円程度の政府支出が維持されることになる。
 今年に入ってから受給ギャップのマイナス幅が縮小しているのは、こうした積極的な財政出動の効果であることはほぼ間違いなく、当分の間、需要主導で需給ギャップの解消が進む可能性が高い。今のところはアベノミクスに軍配が上がっているようである。

 ただ、日本経済の低迷が本当に単なる需要不足であったのかについて本当の答が出るのはかなり先のことである。もし需要不足が原因でなかった場合には、それは財政への不信任という形で顕在化することになり、そうなった場合には日本経済は手の付けられない状況に陥る可能性が高い。供給面に問題があると考える人にとっては、現在の状況は、時限爆弾が着々と時を刻んでいるという解釈になるだろう。果たしてどちらが本当の姿なのだろうか?

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