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米FRBが量的緩和縮小を決定。今回の決定が100点満点である理由

 

 米FRB(連邦準備制度理事会)は2013年12月18日、FOMC(連邦公開市場委員会)において、量的緩和策の縮小を決定した。FRBによる国債購入額を2014年1月から100億ドル(約1兆400億円)減らす。リーマンショック以降、3回にわたって続けられてきた量的緩和策がとうとう転換する。

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 これまでFRBは、国債を450億ドル、不動産担保証券(MBS)などを400億ドル、合計850億ドルを毎月購入していた。今回の決定によって2014年1月以降は、国債が月額400億ドル、不動産担保証券が月額350億ドルとなり、合計で750億ドルに減額となる。

 今回のFOMCにおける緩和縮小の決定について、市場関係者の多くはほぼ100点満点と評価している。その理由は、今回のFOMC決定は、2014年2月に就任するイエレン新議長(現副議長)への引き継ぎという意味で完璧な内容となっているからである。

 イエレン氏は、量的緩和策を基本とした現在のFRBの金融政策の立役者の一人であり、現FRB議長であるバーナンキ氏とは非常に立場が近いとされている。だがバーナンキ氏と比較して、さらにリベラル色が強く、失業率など雇用市場の改善をより強く意識しているといわれる。また金融政策の先行きについて、よりはっきりと市場に伝えるというスタンス(フォワードガイダンス)をとっている。

 イエレン氏は経験も豊富で、何より現副議長であることから、その基本的な手腕について疑問視する人はほとんどいない。だがあえて懸念材料を探すとすると、失業率やフォワードガイダンスへのこだわりが強すぎ、思った通りの状況に経済が移行しない場合、逆にFRBの選択肢を狭めてしまうというリスクであった。

 だが今回のFOMC決定はこれらをすべてクリアできる非常に有効な決定であったと考えられる。今回の会合で緩和縮小を決定する可能性は50%程度と見られていたので、市場では多少のサプライズとなった。市場よりも半歩先を行くというFRBのスタンスとしては理想的といえる。一方で、失業率が6.5%を切ったとしても、インフレ率が目標を下回っている限りは緩和を継続するというスタンスを明確にするとともに、金利引き上げは2015年頃になるという見通しをよりはっきりさせた。

 失業率を重視し、今後の見通しをよりはっきりさせたいイエレン氏の意向が十分に反映される一方、イエレン氏は、量的緩和縮小という大きな決断から逃れることができた。イエレン氏の政策が今後行き詰まる可能性はかなり小さくなったと考えてよく、今回の決断は、バーナンキ氏からイエレン氏へのクリスマスプレゼントということになるだろう(ちなみに両者はクリスチャンではないが)。

 米国経済の足元は好調である。政府機関閉鎖という大きなマイナス要因があったにも関わらず、生産や雇用市場は大きな改善が見られている。緩和縮小開始には最適のタイミングであり、大きな問題が起きなければ、来年の米国経済はさらに順調に推移する可能性が高い。
 緩和縮小の決定を先送りした9月のFOMCでは、バーナンキ氏と市場のコミュニケーションが疑問視される局面もあった。だがバーナンキ氏は最後には完璧な仕事を成し遂げたといってよいだろう。

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