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失業率が高止まりする欧州で、スイスの職業訓練システムへの関心が高まる

 

 高い失業率が続く欧州で、スイスの職業訓練システムに注目が集まっている。スイスは大学進学率が45%と低いが、その代わり豊富な職業訓練教育制度が整備されている。このためスイスの失業率は2.8%と極めて低い水準に抑えられている。また、UBS銀行のCEOなど、職業訓練学校出身でグローバル企業のトップに上り詰めるケースもあり、その多様性が評価されているという。

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 スイスでは、日本と同様、中学校までの義務教育の制度がある。システムが大きく異なっているのはその先である。
 一般的な大学進学を前提とした進学コースと職業訓練コースの2つを選択することができるようになっており、約7割の生徒が職業訓練コースを選ぶといわれている。
 職業訓練コースは企業と職業訓練学校の連携で実現している。職業訓練学校に進学した生徒は、週の3~4日は企業でのトレーニング、残りを学校での理論的な勉強に充てる。3~4年の訓練を経て、生徒はそれぞれの業界に就職していくが、職業訓練大学などに編入し、さらに高度な教育を受けてから社会に出るという選択肢もある。
 職業訓練を受けることができる職種は約300種に上っており、一般的な職業のほとんどはカバーされるという。職業訓練中は基本的に無給だが、多少の報酬はもらえるという。

 こういったシステムは、スイスのほかにドイツなどにも存在している。フランスにおいてもバカロレアと呼ばれる大学入学システムにおいて職業教育の分野が存在している。だが、職業訓練という位置付けがより徹底しているスイスの方式が注目されているのは、2.8%というスイスの失業率が、欧州各国に比べ突出して低いからである。
 ユーロ圏の10月の失業率は、ドイツなど好景気を謳歌する一部の国を除いて10%台という高い水準が続いている。若年層の失業率に至っては25%を超えている。この状態は当分解消される見込みはなく、欧州では失業率の高止まりが大きな社会問題となっている。

 高い失業率の背景には、当然のことながら景気の低迷があり、それに加えて、高い労働コストや正社員に対する保護の行き過ぎなど構造的な問題が横たわっている。だがもう少し社会的な部分に目を向けてみると、大卒者の過剰な輩出という問題も存在している。
 社会のニーズに対して大卒者の数が多すぎ、根本的に労働者と企業のミスマッチが解消されないのである。社会で必要とされる分の技能労働者を合理的に育成するというスイスの方式が注目されているのは、こうした事情が大きい。

 スイスは、永世中立を基本方針とする欧州の小国であり、金融と高付加価値製造業で成り立っている。徴兵制があり、各家庭には自動小銃が付与されている特殊な国でもある。巨大都市を多数抱え、大量の中間層の生活を維持しなければならない大国とは状況が異なっており、日本も含めて大国がスイスのやり方をそのまま踏襲するのは難しいだろう。
 だが一般教養的な教育を大量の学生に提供する従来のマス大学教育が限界に来ていることも事実である。一部の大学はすでに実施しているが、大学教育の中に職業訓練的な要素を積極的に取り入れていくことは、今後の日本においても重要なことかもしれない。

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