ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

海外ではLCCを超えるスーパーLCCが大躍進。利用者の選択肢が広がる

 

 米国でLCC(格安航空会社)のさらに上をいく、超格安航空会社が躍進している。フロリダを拠点に全米と南米各地に路線をもつスピリットエアラインもその一つである。座席ピッチを極限まで狭くしたり、遅れが日常茶飯事などサービスは最低だが、価格は一般的なLCCよりさらに安い。サービスが悪いことを理解した上で利用する顧客が増えてきており、業績は好調だ。

spiritair

 スピリット社の2012年12月期の売上げは13億1800万ドル(約1370億円)、当期利益は1億846万ドル(約113億円)となっている。今期は第3四半期ですでに昨年と同じ水準の売上げとなっており、2013年12月期の決算は増収増益が期待されている。利益率は8%を超えており、大手エアラインとの比較ではもちろんのこと、サウスウエストやジェットブルーなど他のLCCとの比較でもかなりの高収益だ。

 同社の収益の秘密は、徹底的なサービスの廃止である。同社の運賃は他のLCCよりも安く設定されているが、付帯するサービスはほとんどない。2007年に全米の航空会社では初めて、すべての預かり荷物を有料化したほか、機内手荷物にまで課金する。座席を指定すると10ドルから20ドル取られ、ドリンクは水も含めてすべて有料だ。

 シートピットは28インチ(約72センチ)ともっとも狭い部類に入り、リクライニング機能はない。日本の大手国内線のピッチは31インチ(79センチ)程度が標準といわれているが、28インチとなるとかなり狭い。体格の大きい人の場合には、膝が前のシートにぶつかってしまう程である。遅延などスケジュール変更も日常茶飯事だ。
 米国ではもっとも権威のある商品サービス評価誌の一つであるコンシューマ・レポートにおいて、スピリット社はワースト航空会社のひとつに選ばれている。

 確かに同社のサービスは悪いが、運賃はかなり安い。例えばニューヨークからフロリダまでの航空運賃は、時期によっても異なるが、大手の場合には500ドルくらいすることが多い。LCCであるジェットブルーは160~170ドルだが、スピリットの場合にはさらに安く100ドルを切る。
 また機内手荷物には課金されることを、社長自らがCMに出て説明しており、顧客の多くは同社のサービス内容をよく理解した上で利用しているものと考えられる。ちなみに同社はこれまで大きな事故を起こしたことはない。

 こうしたサービスについては賛否両論あるだろうが、利用者の選択肢がたくさんあることは評価できる。日本の場合には、空港の利用料など官に支払うコストが高すぎ、LCCといっても安い料金を提示することができない構造になっている。このため諸外国に比べて平均的な航空運賃はかなり高く、そのツケは利用者が負っている。
 米国はもちろんこと、欧州やアジアでもLCCは、大手航空会社をはるかに超える規模に成長している。昭和な時代の航空業界が残っているのは、世界広しといえども日本くらいなものである。

 - 経済 ,

  関連記事

tosho
株高で富裕層はウハウハ?日本ではなぜ庶民が株高の恩恵を受けられないのか?

 このところの株高で富裕層の消費が拡大していることが明らかになった。日本百貨店協 …

seveneleven
超優良企業セブンによるニッセン買収で見えてくる、同社と日本経済の限界点

 セブン&アイ・ホールディングスは2013年12月2日、カタログ通販大手のニッセ …

kyuyomeisai02
4月の実質賃金は24カ月ぶりに上昇。だが中身は物価上昇率の鈍化

 賃金の伸びから物価の上昇分を差し引いた4月の実質賃金が24カ月ぶりに増加となっ …

Cove Point
シェールガス革命で日本の製造業が次々に米国進出。期待される日本の国際収支への貢献

 米国ではシェールガス革命の進展によって、世界最大のエネルギー輸出国に変貌しよう …

ieren02
米FRB、イエレン新体制が始動。大きな障害はないが、新副総裁との関係だけは微妙

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の新しい議長にジャネット・イ …

rajoy
フランスやスペインで失業率がさらに悪化。緊縮路線はもう限界か?

 欧州の失業率がさらに悪化している。スペイン国家統計局4月25日に発表した第1四 …

abekeitaiminaosi
首相が突然、携帯電話料金の見直しに言及。賃上げ要請と同じ結果に終わる?

 安倍首相の携帯電話料金の見直し発言が波紋を広げている。日本の携帯電話会社は3社 …

shokutaku
家計のエンゲル係数上昇がより顕著に。トランプ経済は日本にとって最後のチャンス?

 家計のエンゲル係数の上昇が顕著となっている。エンゲル係数の上昇には様々な要因が …

no image
ドイツでは東欧やアジアなど外国の格安介護施設が大人気

 日本と同じく高齢化が進むドイツで、物価の安い東欧諸国やアジアの介護施設に入居す …

beijing
中国のGDP鈍化で各国の株式市場が混乱。今後の中国経済をどう見るべきか?

 中国国家統計局が15日発表した1~3月期のGDP成長率をめぐって株式市場で混乱 …