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米国は「日本化」しているのか?FRBエコノミストの見解をめぐって激論

 

 米FRB(連邦準備制度理事会)は2013年12月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、とうとう量的緩和策の縮小を決定した。しかし一方でフォワードガイダンス(金融政策の見通しをはっきりさせる手法)を強化し、失業率が6.5%を切ったとしても、インフレ率が目標を下回っている限りは緩和を継続するというスタンスを明確にした。
 米国のエコノミストの間では、現状の米国経済における「基礎体力」について見解が分かれている。米国経済は極めて堅調であるという楽観的な見方がある一方、イエレン新議長を初めとするFRBのエコノミストの一部は、米国経済の好調さを認めながらも、従来とは状況が異なっていることを強く認識している。つまり米国経済の「日本化」について懸念を深めているのだ。

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 今回の量的緩和縮小決定の約1カ月前、FRBのウィルコックス調査統計局長がIMFに提供したレポートがちょっとした話題となった。
 基本的には、高い失業率が米経済に与える影響は大きく、失業率改善のためには高いインフレ率もやむを得ないという主張であり、それほど驚くべき内容ではない。むしろ話題となったのは、その結論よりも前提条件の方である。ウィルコックス氏は、米国経済には「たるみ」が生じており、従来のような成長が期待できない可能性を示唆しているのだが、これが大きな論争の的となっている。

 一般に米国民の経済に対する要求水準は、日本とは比べものにならないくらい高い。米国人は、常に数%の経済成長を実現するのは当然と考えている。リーマンショックのような出来事があったとしても、元の水準に戻るだけでは不十分であり、危機がなかった場合に実現できていたはずの、より高い水準まで達成しなければ、回復とは呼ばないのである。

 これに対して日本の場合には、前年よりもプラスになっていれば景気がよくなったと国民やメディアは評価する。冷静に数字だけで判断すれば、1990年以降、日本のGDPはほぼ横ばいでゼロ成長であったが、米国など諸外国は2.0~2.6倍に経済が拡大している。円高の影響を考慮しても日本の相対的な経済規模は3分の2に縮小しており、かなり貧しくなった。1990年台初め、米国では5ドルもあればそれなりの食事が楽しめたが、今は15ドルくらいが相場だ。為替の水準はそれほど変わっていないことを考えると、日本人の購買力は確実に落ちていることが実感できる。
 日本において米国の評価基準をあてはめると、現状から1.5倍に経済が拡大してはじめてイーブンという認識になるが、実際には、前年よりよければその政権は非常に高い評価を受けることが多い。

 米国経済に関する日本の報道は、米国での論調が基本となっている。このため連日、米国経済は不調であるというニュアンスのニュースが伝えられることになる。だが、日本の基準で評価すれば、米国経済は絶好調という、まったく逆の解釈となる。米国経済の実態と報道のギャップに違和感を覚えていた人も多いと思うが、その違和感はこうした基礎認識の違いが大きく影響しているのだ。

 ウィルコックス氏の指摘は、こうした米国人の高い目標設定が、少々難しくなっているのではないかという指摘にほかならない。悲観的に見れば、米国の日本化が進んでおり、長期停滞の時代を迎えつつあるという解釈になる。日本化を避けるためには、多少のインフレを我慢してでも、緩和的スタンスを続けた方がよいというわけだ。
 一方、米国の足元の景気は好調であり、こうした悲観論を吹き飛ばしそうな勢いもある。最終的にどちらの見解が正しいのかはまだ分からないが、少なくとも、高い水準に基礎認識を置く米国人のメンタリティが、これまでの成長を支えた要因のひとつであったことは間違いないだろう。

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