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政府が来年度の経済成長見通しを発表。公共事業の実質削減で成長も鈍化

 

 政府は2013年12月21日、来年度の経済成長見通しを発表した。物価の変動を考慮した実質GDP成長率は1.4%となり、今年度の2.6%から大きく下落する。個人消費が消費税増税の影響で伸び悩むほか、駆け込み需要の反動で住宅投資が減少することが主な要因。

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 2014年度の名目GDPは500.4兆円の見込みで2013年度の484.2兆円と比較すると3.3%の増加となる。GDPデフレーターは1.9%となっており、実質GDP成長率は1.4%となる。

 2013年度は名目2.5%、実質2.6%と実質が名目を上回っており、まだデフレ状態が続いていた。だが、2014年度は名目3.3%、実質1.4%と名目と実質が逆転し、ようやくデフレ状態を脱却することになる。
 消費者物価指数は2013年度は0.7%の上昇だったが、2014年度は3.2%の上昇を見込んでいる。これには消費増税の影響が含まれており、これを除いた実質的な物価上昇率は1.2%程度と見込まれている。

 2014年度の実質GDP成長率が減少するのは、消費増税によって個人消費が伸び悩むことや、消費税の駆け込み需要がなくなることで、住宅投資が減少することが原因とされている。確かにこれらが与える影響が大きいのは事実だが、成長率が伸び悩む最大の要因は公共事業である。

 12月24日に2014年度予算案が閣議決定されたが、公共事業費は5兆9685億円と前年度比12.9%の大幅増となった。だが実際には社会資本特別会計の一般会計統合による増加分がほとんどであり、実質的に公共事業費は増えていない。また公共事業をはじめとする政府支出については、単発ではなく補正予算とセットの総額で考える必要がある。

 2013年度は、当初予算と前年度の補正予算を合わせて約103兆円の政府支出があった。これに対して2012年度は、当初予算と前年度第四次補正予算を合わせた政府支出額は93兆円しかなかった。2013年度は前年度より10兆円も政府支出が多く、これは2012年度の名目GDPの約2.1%に相当する。2013年度のGDPが2.6%の成長になるのはある意味で当たり前のことである。
 一方、来年度の政府支出は、12月5日に閣議決定した5.5兆円の補正予算と来年度当初予算を合わせた約102兆円が予定されている。この金額は2013年度とほぼ同じ金額であることから、他の要素が大きく伸びない限り、GPD成長は限定的となる。

 つまり2013年度は消費税増税を実現するために、GDP成長が顕著になるよう政府支出を増やしていたわけである。政府は2020年に基礎的財政収支を黒字にするという公約を掲げており、現在のペースではそれを実現するのは難しい。2014年度予算は基礎的財政収支の赤字をマイナス1.9兆円以内にすることが、経済財政諮問会議で示されており、実際に予算案はその範囲に収まっている。来年度については財政再建の優先度が高く、政府支出が横ばいになった格好だ。

 このことからも分かるように、現在の日本経済は公共事業を中心とする官需に依存する体質になっている。したがって来年度以降の経済成長率もまた、政府支出の動向に大きく左右されてしまう。本来であれば、日本経済は自立的な回復軌道に乗っているはずだが、今のところそうなってはいない。当分の間、政府支出の動向に経済成長が左右される状況が続く。

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