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来年度の国債の発行総額は180兆円を突破。国債管理政策は正念場へ

 

 財務省は2013年12月24日、2014年度の国債発行計画を発表した。国債発行総額は181.5兆円となり、はじめて180兆円台を超えた。日銀による量的緩和策の実施により当面は国債消化余力に問題はないが、金利上昇リスクを見据えた厳しい国債管理政策が続くことになる。

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 日本は国家予算の半分近くを国債による借り入れに頼っている。2014年度一般会計の総額は約95.8兆だが、歳入のうち税収は約50兆円しかない。残りのほとんどは国債発行によって賄われている。2014年度の新規国債発行額は41兆2500億円になる見込みである。

 これに対して2014年度に発行する国債の総額は181兆5000億円である。41.3兆の新規国債に対して、発行する国債の総額が181.5兆と大きな開きがあるのは、過去に発行した国債の借り換え分があるからである。
 つまり国債市場は、毎年新規に発行する国債に加えて、過去に発行した国債の借り換え分も含めて消化しなければならない。国債が安定的に消化できるのかは、新規の国債発行額だけではなく、発行額全体について考える必要がある。

 現在、日銀による国債の直接引き受けは法律で禁じられている。だが実際には、国会の決議を経て、毎年日銀による直接引受が行われており、2014年度は約11兆円が直接引き受けされる予定だ。また市中で消化されるといっても、日銀の量的緩和によってその国債はやがて日銀が購入することになるので、市場参加者は安心して国債を購入することができる。つまり実質的には日銀が国債の直接引き受けを行っている状況といってよい。

 これは短期的には金利を引き下げ、国債の消化をスムーズにする役割を果たすことになる。だが問題はその後である。日銀は、いつかは量的緩和策を縮小あるいは中止する必要に迫られる。その時の金利動向が日本の財政に極めて大きな影響を与えることになる。

 現在、国債の発行残高は800兆円を超えているが、毎年180兆円という巨額の国債発行が続けば、最短の場合、数年ですべての国債が新しく発行したものに入れ替わることになる。この間に金利が急騰する事態となれば、利払い額が一気に増加し、財政が立ちゆかなくなる。
 財務省では、こうした事態を避けるため、償還期限の長期化を実施している。2014年度の発行計画において、長期債(30年債)の発行額を1.2兆円増額し、償還期限を6カ月長くする予定である。

 日本の財政問題が議論される時には、国債の発行総額や負債のGDPに対する割合いなどがテーマとなることが多い。「国債の保有者の多くは日本人なので大きな問題はない」「日本政府は資産をたくさん保有しているので問題ない」といった議論はその典型といってよい。
 国債保有者の10%近くがすでに外国人になっているという事実や、日本政府が保有する資産の多くは実質的に価値がないことを考えれば、財政に大きな問題はないとする見解の多くは根拠が薄い。だがそれにも増して重要なことは、財政問題でもっとも懸念されるのは、負債の総額などではなく、金利の急騰による混乱であるという点だ。

 短期間で金利が急騰すれば、金融機関の経営に重大な影響が生じるほか、長期的には利払い額が増加し、従来通りの国家予算が成立しなくなってしまう。財政が完全に破綻していなくても、このような事態になっただけで、日本にとっては致命的な損失である。
 金利を低く抑え、現在の国債消化余力をどれだけ維持することができるのか。日本の国債管理政策はいよいよ正念場を迎えつつある。

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