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ゲームが認知症に効果があるとの研究で、再び脳トレに注目が集まるか?

 

 ゲームを通じて脳を鍛えるいわゆる「脳トレ」の効果に関する議論が米国で盛んになっている。一流科学誌に「効果がある」という記事が掲載される一方、ほとんど効果はないと批判する専門家も多い。日本でも一時脳トレ・ブームとなった時期があったが、本当のところはどうなのだろうか?

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 カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者であるアダム・ギャザレー氏は、ゲームを通じて、高齢者がマルチタスク能力(複数の仕事を同時にこなす能力)を高めることができることを明らかにした。
 車を運転しながら、ランダムに現れる標識を確認していくゲームを用いた実験では、マルチタスク能力は年齢とともに低下していくことが確認された。だが一定のトレーニングを行った高齢の被験者であれば、トレーニングを行わない若年層の被験者よりもマルチタスク能力が高いことが分かったという。

 複数の仕事を同時にこなすことが難しくなるのは、典型的な年寄りの兆候だが、やり方によって若い人よりもテキパキと仕事をこなせることが証明されたわけである。ギャザレー氏はこのゲームを認知症の正式な治療法として認可されるよう、米食品医薬品局に申請を行う予定だという。
 ギャザレー氏の試みは世界的な科学雑誌ネイチャーでも紹介され話題となったが、記事では商用化されている多くの脳トレ・サービスが必ずしも科学的根拠に基づいているわけではないとの指摘も行っている。

 日本では2005年、東北大学の川島隆太教授が監修したニンテンドーDSの「脳トレ」ゲームが大ヒットしたことがあった。このゲームの効果や科学的根拠については、同じくネイチャーで批判的な論文が掲載されたことがあったほか、国内の研究者からも批判的な意見が寄せられた。川島氏本人も、ゲームの効用は主張しつつも、「このゲームで頭がよくなるわけではない」と、世間からの過剰な期待については否定的な見解を述べている。

 米国ではネットを使って有料の脳トレ・サービスを提供する企業が多数設立されており、ちょっとしたブームになっている。日本でもスマホの普及を背景に再び脳トレがブームになるかもしれない。

 脳トレが世間でイメージされているような万能の効果を持っているのかは疑問だが、少なくとも特定の脳の活動に対してはそれなりの効果がありそうだ。「頭が飛躍的に良くなる」あるいは「ボケを完全に防止できる」といった過大な期待を持たず、楽しみとしてゲームを続ける分には有益だろう。当然のことながら、長時間の連続プレイは避けた方がよい。何事に関してもそうだが、ほどほどが重要である。

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