ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

絶好調のユニクロ。息子への社長世襲は時間の問題となりつつある?

 

 ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井社長は、常々「世襲はしない」と公言してきた。だが柳井氏の後継社長がなかなか見つからない中、市場では二人の息子のどちらかが後継者になるのでは?という観測が日増しに高まっている。
 経営の世襲には批判的な意見も多いが、同社の場合には、息子のどちらかが後継者となった方が、株主利益に貢献すると考えられる。それは、柳井氏一族が同社の大株主であることと、柳井氏が一種のカリスマ経営者であるという2点からだ。

yanai02

 柳井氏は現在、長男の一海氏(39)と次男の康治氏(36)の2人をグループに入社させている。長男の一海氏は、ゴールドマン・サックスを経てアパレル企業のリンク・セオリーに入社、その後ファーストリテイリングが同社を完全子会社化したことで、グループ執行役員に就任した。
 一方、次男である康治氏は三菱商事出身で、2012年9月にファーストリテイリングに入社。広報部門などを経て現在はやはりグループ執行役員に就任している。

 柳井氏は、同社株の22%を保有する大株主であり、実質的に同社のオーナーとなっているが、長男の一海氏と次男の康治氏もそれぞれ4.5%の株を持つ大株主だ。さらに両氏の資産管理会社の分も含めれば両氏はそれぞれ8%~9%ずつ同社株を保有している。柳井氏が死去した後は、相続税対策のやり方にもよるが、柳井氏の株式の多くを引き継ぐことになる可能性が高い。

 同社の時価総額を考えれば、柳井氏が保有する同社株の価値は1兆円に達するほか、一海氏は約4000億円、康治氏は3600億円分を保有している計算になる。両氏のどちらかがトップに就任して経営を誤り、株価が半分になれば、一族で9000億円近い金額を失ってしまう。経営に失敗してもっとも困るのは、柳井一族そのものなのである。
 この状況は、単なるサラリーマン社長が息子かわいさに、コネで役職に就けることとは大きく次元が異なっている。ここまで自身の資金を賭けていれば、投資家も納得するだろう。

 それと不思議なことに、カリスマ的なオーナー社長の子息の中には、親の能力をそれなりに引き継げる人も少なくない。それは遺伝的なものというよりは、生活環境が大きく影響している可能性が高い。
 柳井氏はかつて玉塚元一氏(現ローソンCOO)を後任社長に据えたものの、玉塚氏の「安定成長」路線を嫌い、わずか3年で更迭し、自身が社長に返り咲いた過去がある。玉塚氏はサラリーマン社長としては極めて有能だったが、一種の天才実業家である柳井氏から見れば、安定をむさぼる公務員のようにしか見えなかったのだろう。

 こうしたカリスマ的経営者の感覚は常人には理解しがたい。唯一それが可能となるのが、幼い時から身近でカリスマ経営者を見てきた子息ということになる。

 柳井氏が世襲はしないと公言してきたのは、一代でこれだけの事業を築き上げてきた実業家としての「意地」にすぎない。こうした意地が裏目に出たのがホンダのケースである。
 ホンダ創業者の本田宗一郎氏も、柳井氏と同様、世襲はしないと公言してきた。だが、宗一郎氏の息子への愛情に「配慮した」周囲の社員が、息子の博俊氏を関連会社の社長に就任させた。宗一郎氏の死後、博俊氏の名前は、グループ内のあちこちで利用され、最後には不正経理事件の舞台にまでなってしまった。世襲問題を中途半端に処理した悲劇といえるだろう。

 出資者として自身の資産を会社に賭けることができ、かつ経営者として相応の能力を持っているのであれば、子息が会社を継ぐメリットは大きい。
 柳井氏は現在65歳であり、まだ十分に経営者としての体力が残っている。だが次期社長への引き継ぎ期間などを考えると、残された時間はそう多くはない。今年の株主総会あたりには、次期社長に関する何らかの方向性が示されることになるかもしれない。

 - 経済 , ,

  関連記事

setsubitousi
設備投資は足踏み状態。失速とは断言できないものの、パッとしない展開か?

 内閣府は2014年4月10日、2月の機械受注統計を発表した。主要指標である 「 …

money009
日本全体のバランスシートを見ればお金が出回らない理由がよく分かる

 内閣府は2014年1月17日、2012年度の国民経済計算を発表した。資産から負 …

kengyo
欧米で仕事を掛け持ちする「マルチワーカー」が増加中。日本では普及しないワケ

 複数の仕事を掛け持ちする人をマルチワーカーと呼ぶが、不況が長引く欧州ではマルチ …

abe20141117
消費増税延期で衆院解散へ。量的緩和策で当面不安はないが・・・

 安倍首相は衆議院の解散と来年10月に予定されている消費増税の延期を決断した。増 …

myanmer
ミャンマーの携帯電話事業で日本は落選。中東の通信会社を選定したしたたかな戦略

 ミャンマー政府は6月27日、同国における携帯電話事業への新規参入選定において、 …

eu
EUが経済成長見通しを下方修正。緊縮財政は事実上棚上げか?

 EU(欧州連合)の欧州委員会は5月3日、2013年春の欧州経済見通しを発表した …

frb
予想外に好調だった米雇用統計で、9月緩和縮小の声が高まる

 米労働省は7月5日、6月の雇用統計を発表した。失業率は7.6%と横ばいだったも …

singapol
習近平氏はシンガポール型経済システムに着目。だが実現は絶望的?

 新しく中国共産党総書記に就任した習近平氏が、問題山積の中国の現状に対してどのよ …

jinkou
日本の人口減少は新次元に突入。少子化対策はむしろ逆効果なのでは?

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は3月27日、2040年までの地域別推 …

akachan
日本経済が人口減少の影響を受けるのはこれからが本番

 厚生労働省は2014年1月1日、最新の人口動態統計の結果を発表した。それによる …