ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

公共交通機関に乗る際、子供に睡眠薬を処方するのはアリなのか?

 

 ホリエモンこと堀江貴文氏がツイッターで「新幹線や飛行機で泣く子供には睡眠薬を飲ませるのも一つの方法」と発言したことをきっかけに、ネット上では批判が殺到し大炎上となっている。
 確かに米国や欧州では、長距離の飛行機に乗る際、子供に睡眠薬を飲ませる親は一定数存在するが、日本ではあまり一般的ではない。だがホリエモンに対しては「犯罪者の発想にしかみえない」といったかなり激しい批判が寄せられている。公共の乗り物に乗る際に睡眠薬を処方することについてどう考えるべきなのだろうか?

child

 炎上のきっかけは「子供連れがうるさくて迷惑だという人は公共交通機関に乗るべきではない」というツイッターでの発言に、ホリエモンが「子供連れの客は迷惑だという考えも理解できる」という趣旨の発言をしたことがきっかけ。
 その後のやり取りの中で「子供の面倒を見る親の負担軽減にもなるので、睡眠薬を使うのも一つの方法」という趣旨の発言があり、それがきっかけで大炎上になってしまった。

 睡眠薬発言に対する想像以上の批判は、「子供連れが迷惑になる場合があり得る」というホリエモンの発言に対する感情的な反発が加わっているので、多少割り引いて考える必要がある。だが、それにしても睡眠薬の処方に対する批判が大きいことがあらためて浮き彫りになった格好だ。

 日本人の感覚では、公共交通機関で子供を静かにさせるために、睡眠薬を小児科医に処方してもらうという行為には抵抗感があるかもしれない。
 欧米の航空路線(特にビジネスクラスの機内やラウンジ)では、子供達が不気味なくらい静かにしている。起きている子供も、おとなしくタブレットPCなどを操作していることが多く、本来はしゃぎ回る子供の性質を考えると不自然な感覚が否めないのは確かだ。また、安全が確認された薬を使うといっても副作用のリスクはゼロではなく、欧米人が皆、子供に睡眠薬を処方することを望んでいるわけでもない。
 ただ、親本人も過剰な疲労から解放されるというメリットがあることを考えると、リスクを理解した上での処方であれば、選択肢の一つにしてもよいのではないかというホリエモンの意見はそれなりに合理的といえる。

 睡眠薬の処方に対する激しい批判は、おそらく薬を処方することそのものに対する抵抗感ではないと考えられる。OECD(経済協力開発機構)による30カ国の比較調査では日本の人口あたりの薬の消費量は世界3位とかなり多いからだ。
 OECDの調査にはすべての薬が含まれるため、高齢化が進む日本の順位は高くなる傾向がある。だが多くの日本人がちょっとしたことでもすぐに病院に行くことや、耐性菌や副作用のリスクがあるにも関わらず、風邪を引いただけの子供に抗生剤の処方を強く要請する親が多いことなどは、生活実感として理解できることである。つまり日本人はどちらかというと子供に対して副作用の強い薬を処方することへの抵抗感は薄いのだ。

 にもかかわらず睡眠薬処方に対して激しい批判が起こるのは、過去の生活習慣にない新しい概念に対する抵抗感が強いからなのかもしれない。もっとも公共の場所における子供の振る舞いに関する日本社会のコンセンサスを考えると、実際に睡眠薬が普及する可能性は限りなく低いと考えられる。

 - 社会 , ,

  関連記事

pakucongress
産経ソウル前支局長無罪判決が、極めて妥当かつ民主的である理由

 韓国のソウル中央地方裁判所は2015年12月17日、朴槿恵大統領の名誉を傷つけ …

mama
子供がいると女性は不幸?内閣府の調査結果は日本社会の現状をよく表している

 内閣府経済社会総合研究所は、幸福度が子供の存在によってどのような影響を受けてい …

nakamurashuji
中村修二氏のノーベル賞受賞であらためて問われる「発明の対価」

 今年のノーベル物理学賞は青色発光ダイオード(LED)を発明した名城大学の赤崎勇 …

kuukikan
中国の富豪が大気汚染に抗議?して空気の缶詰を販売。シニカルな戦略が意味するもの

 連日、深刻な大気汚染が続いている北京でユニークな商品が販売され話題となっている …

no image
マッカートニーとオノヨーコが完全和解。今後のビートルズ事業が狙いか?

 ビートルズの元メンバーであるポール・マッカートニー氏がTVのインタビューで「ビ …

seattle
シアトル市議会が時給15ドルの最低賃金を可決。現行から6割引き上げ

 米国ワシントン州のシアトル市議会は2014年6月4日、市の最低賃金を1時間15 …

no image
ナイジェリアの公立学校で中国語教育始まる。国家覇権と言語は一体の関係

 中国が積極的に開発援助を行っているアフリカのナイジェリアで、公立学校における中 …

no image
フランスの高級ワイナリーを中国人が大人買い。その真相は?

 フランスの2大ワイン産地の一つであるブルゴーニュ地方にある老舗ワイナリー(現地 …

Ecclestone
F1界のドン、バーニーエクレストン氏をドイツ当局が起訴。欧州の伏魔殿にメスか?

 自動車レースの最高峰であるF1グランプリ界のドンといわれ、F1関連の多くの興業 …

Zuckerberg
動き出した米国の移民制度改革。その影響はやがて日本や中国にも及んでくる

 米国社会が移民容認に向けて動き始めた。3月27日付けの米ウォールストリート・ジ …