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金価格の暴落でスイス中銀が評価損を計上。ドル高によって、金価格は低空飛行が続く

 

 スイスの中央銀行にあたるスイス国立銀行は、2013年の決算で約90億フラン(約1兆円)の損失を出す見通しであると発表した。金価格の下落によって保有する金準備の評価損が膨らんだことが原因。金価格の下落が中央銀行のバランスシートに大きな影響を与えていることがあらためて確認された。

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 金価格は2000年前後から急上昇し、リーマンショック後のドル不安がピークに達した2011年には1トロイオンスあたり1800ドルを突破していた。だが米国経済が順調に回復を始めたことからドルへの信認が戻り、現在は1200ドル前後まで金価格は暴落している。

 かつては金本位制の名残から各国政府や中央銀行は一定量の金を保有していたが、管理通貨制度の期間が長くなるにつれて金の保有にはそれほど高い関心を払わなくなっている。だがスイスは例外で、金の保有量は継続的に減らしてはいるものの、現在でも日本より多い1000トン以上の金を保有している。スイスのGDPは日本の10分の1であることを考えると、スイスの金保有量は突出して多い。

 今回、金価格が大幅に下落したことで、スイス中央銀行が保有する金には150億フランの評価損が発生した。債券や金融機関安定化基金の売却などによって60億フランの利益を計上したが、通算で90億フランの損失になるという。詳細な決算は2014年3月に発表される。ちなみに日銀の総資産に占める金の割合いは0.3%以下であり、ほとんど影響はない。

  金と米ドルの兌換を停止したニクソン・ショック以降、金価格とドル価格には明確な相関が見られる。金価格の絶対値はここ十数年で6倍に値上がりし、ふだんは投資に関心のない一部の個人も値上がり益を期待して金を購入する状況となっていた。
 だが、現在のドルの価値に置き換えた価格で見ると、激しく値上がりしたように見える今回の相場も、1980年につけた2000ドルのピークを超えていない。金価格が前回のピークを越えなかったことから、多くの市場関係者が金価格の大幅な下落を予想していたが、実際にその通りとなった。

 金には宝飾品としてのニーズがあり、中国やインドにおける金の購買意欲は相変わらず高い。また、工業的にも様々な用途があり、金価格が際限なく下落する可能性は低い。だが米国経済がこれほどの回復を見せ、ドル高が予想される現在の状況においては、当分の間、金価格は低迷したままだろう。

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