ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ネット上のニュース配信サービスに参入相次ぐ。だが日本特有のいつもの課題も・・・

 

 スマホ向けにニュース閲覧アプリを提供するベンチャー企業が相次いでサービスを拡充させている。日本でもスマホの普及をきかっけにようやくネット上のニュース配信サービス(ニュース・アグリゲーション)が本格的に立ち上がってきたわけだが、いつものことながら日本市場特有の課題も多い。本格的な市場に成長できるかはまだ不透明だ。

newshaisin

 スマートニュース株式会社は、昨年8月、ベンチャーキャピタルから4億円の資金を調達し、ニュース配信アプリ「SmartNews」の本格な展開を開始した。
 SmartNewsは、ツイッターの話題を一定のアルゴリズムで解析し、よくつぶやかれている話題を中心にニュースを自動配信するアプリを提供している。重複も含めた総読者数は300万人に達しているという。
 社長の浜本階生氏は東京工業大卒のソフトウェア・エンジニアで、幹部社員には東大大学院博士課程卒業者など、ピカピカの高学歴者が並ぶ。

 経済などテーマを絞ったニュース配信に特化しているのが「NewsPicks」である。同サービスを提供している株式会社ユーザベースは、企業向けの財務情報データベースを手がけるベンチャー企業で、NewsPicksもそのサービスの一環である。
 機械的なアルゴリズムだけでなく、アナリストや専門家など「人の目」を使ってニュースの選別を行うのが特徴だ。共同代表の梅田優祐氏は、外資系証券会社やコンサルティング会社で働いた経験を持つ。
 自分が興味のある分野を登録すると関連ニュースを要約した上で自動配信する「vingow」や、ネットの世界ではすでに有名だが、Gunosy(グノシー)も同様のサービスに分類することができるだろう。

 これらの会社の多くは、コンピュータ・サイエンスを中心とした高学歴者が経営幹部に並び、ベンチャーキャピタルなどから多額の資金を調達している。十分な経営リソースを持っており、当面は収益にこだわらず、利用者の獲得に邁進することが可能だ。その意味で、今後、これらが大きなビジネスに拡大するチャンスは大きいだろう。

 だがニュース配信サービスの本格的な普及には課題も多い。それはいつものことながら、日本市場全体の問題であるが故に、少々やっかいでもある。こうしたテクノロジーをベースにしたニュース配信サービス企業が次々と立ち上がる一方、肝心のコンテンツが不十分なのである。

 米国ではこうしたニュースアグリゲーションと同時に、ニュースそのものを配信するベンチャー企業も多数育っており、コンテンツの入手には事欠かない状況となっている。
 だが日本の場合には、政府による規制に守られた大手マスコミが寡占状態となっていることもあり、ネット上で良質のニュース・コンテンツを提供する企業は少ない。個人ブログを中心としたパーソナルな情報発信と大手メディアによる情報発信に偏ってしまっている。
 しかも、大手メディアの多くはいまだに紙が収益源となっており、こうしたネット上の配信サービスとは場合によっては利益相反を起こす。制限されたネット向けコンテンツを各社がシェアする状況となっており、このままでは市場が拡大しない可能性がある。

 かつて2000年前後のネットバブルの時代、日本では国を挙げて起業家育成を行ったものの、その市場に群がってくるのは、金融機関や会計事務所、コンサルティング会社など起業家を応援する(起業家からお金をもらう)という人たちばかりで、肝心の起業家がなかなか出てこないという状況であった。
 今回の状況もこれと少し似たような部分がある。ニュース配信を手がけるのが大手企業ではなくベンチャー企業というところは評価できるものの、ニュース配信を支援するインフラ会社ばかりで、肝心のニュースを作る会社が少ないというのは、なんとも心許ない。

 もっともコンテンツとインフラは鶏と卵の関係である。こうしたニュース配信サービスの普及をきかっけに、コンテンツを作る企業が増えてくるとよいのだが。

 - 経済, IT・科学 ,

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