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消費税10%に向けて動き出した財務省。増税の判断基準が7~9月期GDPである理由

 

 昨年末に2014年度予算の政府案が閣議決定されたことで、財務省は消費税の10%増税という次のステップに向けて動き始めた。ただ2014年は7%への消費増税があることと、財政再建を優先し、政府支出を2013年と同水準に抑えたことなどから、経済成長率が大きく下落する可能性が高い。景気対策と消費税10%増税の両方をにらんだ微妙な財政運営が求められている。

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 麻生財務相は2014年1月6日、財務省の年頭訓示で「消費税率は10%に到達しなければ本来の目的を達成したとはいえない」と述べ、10%増税に対して強い意欲を示した。また、増税の決断時期について「7~9月期の結果がすべてを語る」と指摘し、7~9月期の経済成長率を軸に増税を判断する意向を示した。

 前回の7%への増税の時もそうだったが、どの時期のGDP成長率を判断材料のするのかによって、状況は大きく変わってくる。7%への増税については政府首脳がかなり以前から2013年4~6月期の結果で判断すると言及していた。
 これについては明確な理由がある。2013年初頭に決定した10兆円の大型公共事業の効果が発揮されるのは2013年前半だからである。実際、2013年の実質GDP成長率は、1~3月期が4.5%、4~6月期が3.6%、7~9月期が1.1%(いずれも改定値を年率換算したもの)となっており、消費増税決定後に発表された7~9月期は大きく数字が落ち込んでいる。

 消費増税関連法には景気条項が付帯している。絶対条件ではないものの、名目3%、実質2%程度の経済成長が増税の条件となっており、7~9月期ではそのレベルに達しない可能性があった。このため増税の決断については、早い段階から4~6月期の数字を基準にすると決められていたのである。

 今回も同じようなパターンになる可能性が高い。OECDによる4半期経済見通しによれば、2014年における日本の実質GDP成長率は、1~3月期は3.1%、4~6月期はマイナス2.9%、7~9月期は1.2%、10~12月期は1.2%と予想されている。
 4~6月期は消費増税の反動で大きく落ち込むことが確実だが、逆にいえば次の期である7~9月期はその反動があるのでプラス1.2%程度の成長は容易だ。さらに先の10~12月期になると、今度は正確な影響が読みにくくなる。こうした一連の状況を考えると、7~9月期の時点で10%への増税を決断するのがもっとも都合がよいということになる。麻生氏が7~9月期と発言していることにはこのような意味がある。

 4~6月期の落ち込みが予想よりも激しかった場合には、日銀に対してさらなる追加緩和の圧力が高まる可能性もある。追加緩和を決めれば、一時的に株高や円安を演出することができ、7~9月期のGDPには好影響となる。
 消費税の10%増税が決まれば、財務省はおそらく財政再建に向けて大きく舵を切ることになるだろう。それでも景気対策が優先されるのかどうかは、もし安倍政権が続いていれば、政権との力関係で決まることになる。

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