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日本の伝統工芸品も値上げ?インフレ経済はこうして始まっていく

 

 本格的な円安が始まってから1年が経過した。当初は灯油や衣類など、輸入品を中心とした値上がりにとどまっていたが、最近はあらゆる製品やサービスに値上げの波が押し寄せてきている。

super01 石川県の伝統工芸品である「輪島塗」の組合では、漆器の原料となる漆の提供価格を2014年2月から30%値上げすることを決定した。
 漆器に用いる漆は、組合がまとめて調達し、各漆器メーカーに提供している。漆のほとんどは中国産なのだが、円安で漆の価格が50%も上昇しているため、価格転嫁することを決めた。

 漆の価格上昇を最終的に製品に転嫁するかは各メーカー次第だが、価格転嫁された場合には、販売数量が落ち込むことが懸念されている。消費者が購入する最終製品が値上げされるかどうか正式に決まったわけではないが、伝統工芸品というグローバリゼーションとは無縁とも思える商品でさえも、円安の影響を大きく受けている。

 商品の利幅が薄い生活必需品の分野ではすでに値上げが相次いでいる。味の素は1990年以降、値段を据え置いていた「ほんだし」の価格を2014年1月から引き上げる。原材料コストの半分を占めるカツオの価格が高騰していることや、梱包材などの価格が円安で高騰していることが原因。同社では出荷価格を6%程度引き上げる。
 また菓子類の分野では、すでに多くのメーカーが内容量を減らす措置を行っている。チョコレート菓子やポテトチップスなど、多くの商品で価格は据え置く代わりに内容量が減っている。一口サイズ、個別包装など、消費者に値上げを悟られないような工夫をしているメーカーも多い。このところ野菜や果物類の価格上昇も著しいが、主な原因はハウス栽培で使用する燃料代の上昇である。

 ネット通販を多用している主婦の間では、すでに昨年前半から悲鳴が上がっていた。輸入食材の価格が高騰したからである。かつてない水準の円高を利用して、海外の良質な食材を安価に調達する主婦は少なくなかった。
 だがこうした商品は為替の影響を真っ先に受けてしまう。例えば、ドイツ産のソーセージ(500グラム)は1000円から1300円に、オーストラリア産のサーモン(200グラム)は1000円から1500円に値上がりしている。輸入食材を活用していた人は、すでに自身の購買力の低下を実感しているだろう。

 2013年11月の消費者物価指数は、「生鮮食品を除く総合(コア指数)」で1.2%の上昇となっている。全品目のうち、昨年1年間で価格が上昇したものは7割に達しており、ほぼすべての商品の価格が上がり始めている。
 デフレ下では、給料が横ばい、あるいは下落しても、その分、物価が安くなっていたので実質的な購買力はあまり変化しなかった。だがインフレが進むと、物価の上昇分ほど給料が上昇しないという状況が容易に起こり得る。デフレ下では職を失うというリスクは大きいが、仕事に就いているという状況で比較すると、インフレ時の方がデフレ時よりも生活が苦しいという印象が強くなる。

 インフレ時に銀行預金はもっとも大敵となる。インフレ時に自身の購買力を維持するためには投資で資産を増やすしかない。一定金額の現金を保有している人は、自身の資産を危険にさらしても投資を実行すべきなのか、安全を取る代わりにインフレ下で実質的な預金額を減らしていくことを受け入れるのか、難しい選択を迫られることになる。

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