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中国で習近平国家主席への権力集中が進む。安定化なのか政情不安なのか?

 

 中国共産党指導部で、習近平国家主席への権力集中が進んでいる。習政権の権力基盤は脆いという見解もあるが、少なくとも表面上は習氏が各方面の権力を掌握しているようにみえる。

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 中国共産党は2013年12月30日、新設される「全面改革指導小組」の組長に習近平国家出席が就任することを決めた。国家安全委員会のトップにも習氏が就任するといわれており、表面上は李克強首相の権限が著しく減少することになる。

 習氏は太子党(共産党幹部の子弟を中心にした派閥)に属しており、イデオロギー的には保守派ということになる。一方、これと対立関係にあるのが、党の青年組織である共産主義青年団(共青団)出身のグループで、前国家主席の胡錦濤氏がこのグループのトップである。李氏は胡錦濤グループに属しており、構造改革を積極的に推進しようとしているが、保守派の習氏はこれに消極的である。

 中国は共産党による暴力革命によって成立した政権なので、国民ではなく共産党が主権者である。したがって政府よりも党の方が立場が上になる。習氏は共産党を権力基盤とし、対立する李氏はナンバー2として政府組織(国務院)を統括するというのが大きな役割分担であった。

 だが今回の人事はこのバランスを崩す可能性がある。国家安全委員会は、国民に対する弾圧・統制を強化するための組織だが、党ではなく国務院側に設置される。本来であれば、李氏のグループからトップが選出される可能性が高いのだが、ここには習氏自らが就任することになった。
 改革指導子組についても同様である。構造改革は国務院側の管轄なので、党の組織とはいえ、やはり李氏が就任する方がスッキリする。だがこちらのトップも習氏となっている。

 小組という組織はあまり目立たないが、実は極めて重要な役割を持っている。党や国務院の委員会には小組と呼ばれる組織が付随することが多いが、実務的な作業はすべてこの小組で行われる。各政策の詳細はこの組織で決まってしまうことになるため、実は権力闘争の本丸なのである。

 一連の人事では、国務院の権限も党側が掌握する形になっており、それは李氏の影響力低下を意味している。
 また習氏は、薄煕来元重慶市書記の後ろ盾だった周永康前政治局常務委員について、汚職の容疑で身柄を拘束したといわれている。両名の背後には、中国共産党で絶大な影響力を持っていた江沢民氏の存在がある。江氏は、習氏が国家主席に就任する際に後ろ盾になった人物の一人だが、ある程度の権力を掌握した習氏にとってはむしろ邪魔な存在になりつつある。周氏が失脚することになれば、江氏の影響力はさらに低下することになるだろう。

 習氏が多くの肩書きを持ち、党内、政府内の掌握に乗り出していることが、政権の安定につながるのか、それとも政情不安による焦りによるものなのか現時点では分からない。だが習政権内部で再び、権力闘争が激化していることだけは確かなようである。

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