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経団連会長をOBから起用。影響力低下と人材不足が著しい経団連の実情

 

 経団連は、6月に退任する予定の米倉弘昌会長の後任に、東レ会長の榊原定征氏を起用する人事を固めた。経団連会長は現役の副会長から登用することがほとんどであり、OBからの就任は極めて異例。その背景には経団連の影響力低下に加えて、財界トップに対する深刻な人材不足がある。

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 榊原氏は産業競争力会議の民間議員を務めるなど、安倍首相とは太いパイプがある。現政権とは何かとすれ違いが多かった経団連の現状を考えれば最適な人事といえるだろう。だが満を持して榊原氏が会長に就任するのかというと必ずしもそうではない。

 経団連は日本最大の経済団体として政界に対して絶大な影響力を保持してきた。経団連トップは財界総理と呼ばれ、首相をしのぐ権力を持っていた時代もある。
 歴代トップには、行政改革の推進者としても有名な東芝の土光敏夫氏、新日鉄の稲山嘉寛氏、東京電力の平岩外四氏など、そうそうたる顔ぶれが並んでいる。
 日経連との合併後は、その影響力はだいぶ落ちてきたが、それでもトヨタ自動車の奥田碩氏、キャノンの御手洗冨士夫氏など、大手製造業を中心にトップが選ばれる構図は同じであった。現会長の米倉氏は住友化学出身であり、次期会長についても製造業からの起用を望んでいたという。

 だが日本は経済のサービス化が進んでおり、GDPにおける製造業の割合はすでに2割を切っている。こうした状況にも関わらず、経団連は、製造業中心の政策提言を繰り返しており、現在の経済情勢とはズレが生じ始めている。楽天の三木谷社長はこれに反発して脱退を表明したことで、オールド企業連合というイメージが強くなってしまった。

 さらに都合が悪いことに、米倉現会長は、安倍首相の金融政策や外交政策を強く批判するなど、現政権との折り合いが悪い。このような状況で、会長を引き受ける人物は、現在のメンバーでは誰もいなかったというのが正直なところだろう。

 榊原氏は産業競争力会議において、安倍政権の方針に沿った発言を繰り返してきた。現政権との対話はとりあえずスムーズに進みそうだ。だが、政権に対する影響力という意味では、多くは期待できないだろう。OBである榊原氏に白羽の矢が立った今回の人事は、現在の経団連が置かれている苦しい状況を象徴しているといえる。

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