ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

米雇用統計は予想を下回る。FRB議長交代もあり、市場は神経質な展開

 

 米労働省は2014年1月10日、2013年12月の雇用統計を発表した。このところ米国では毎月の雇用者数の増加が20万人を超えていたが、今月は前月比で7万4000人と市場の予測を大きく下回った。一方、失業率は前月から0.3ポイント改善し、6.7%となった。雇用者数の増加と失業率低下にギャップがあり、量的緩和の縮小スピードをめぐって、今後のFRB(連邦準備制度理事会)の判断が注目される。

usakoyoutoukei201312

 主要指標である非農業部門の雇用者数は前月比7万4000人の増加であった。米国では20万人程度の雇用者数増加は好景気のひとつの目安といわれている。10月は20万人、11月は24万人と好調な数字が続いており、FRBが量的緩和縮小を開始するひとつの判断材料になっていた。
 12月も20万人程度の増加を予想する声が多かったが、予想に反して増加は7万人にとどまった。もっとも11月の増加数の改定値は24万人と大きく上方修正されている。
 今回はその反動分が大きい可能性もあり、雇用増加が本当に鈍化したのかどうかは、来月以降の数字を見なければ判断できない。

 一方失業率は前月の7.0%から6.7%に急低下した。雇用者数の増加が鈍化しているのに失業率が劇的に改善しているのは、職探しを諦めてしまい求職者にカウントされない人が増加しているからである。12月の生産年齢人口は17万8000人増加しているが、労働力人口は逆に35万7000人減少した。これが失業率を大きく引き下げた要因である。

 FRBは、この状況をよく理解している。量的緩和の縮小を決めた前回のFOMC(連邦公開市場委員会)では、失業率がひとつの目安である6.5%を下回っても、インフレ率が目標を下回っている限りは緩和を継続するスタンスを明確にした。失業率は改善しているが、雇用の増加はそれほどでもないという状況が続く場合には、FRBは縮小を行いながらも緩和的なスタンスを維持することになる。

 このあたりをどう判断するのかは非常に微妙なところである。労働市場のギャップについて、米国経済の回復がまだ完全でないことの証拠だとすればFRBの措置は正しいということになる。だが失業率の改善に比べて雇用増加のペースが遅いことは、産業構造の転換によるものである可能性もある。いわゆるジョブレスリカバリーなのだとすると、緩和スタンスの継続はインフレを加速させてしまう。

 10日の米国株式市場は、雇用統計の発表を受け上昇して始まった。雇用増加よりもFRBの緩和スタンス継続が強く意識されたからである。だがその後、労働市場の弱さが意識され、65ドルほど下落したが再び持ち直し、結局、前日比ほぼ横ばいで引けた。
 FRBはイエレン新議長への交代時期を迎えている。新体制での方向性がはっきりするまで、市場では少々神経質な展開が続くだろう。

 - 経済 ,

  関連記事

nichigin04
正念場を迎える日銀の量的緩和策。黒田総裁は外部の発言を積極化

 日銀の量的緩和策が正念場を迎えている。消費者物価指数は伸び率の鈍化が目立ち、4 …

globalmoney
国際的課税逃れへの包囲網が強まる。だがグローバル企業への規制が難しい本当の理由

 国境を越えた税金逃れに対する包囲網が急速に整えられつつある。欧州連合(EU)は …

teninjikyu
カリフォルニア州の最低賃金は1700円へ。日本は人手不足なのに賃金下落の不思議

 米カリフォルニア州議会は2016年3月28日、最低賃金(時給)を15ドル(17 …

shoten
出版取次の太洋社が自己破産。出版市場の縮小はどこまで続くのか

 出版取次の太洋社が2016年3月15日、東京地方裁判所に自己破産を申請した。出 …

bukkajoushou
12月の物価はさらに上昇。ただし円安一服で来月以降は踊り場に?

 総務省は2014年1月31日、2013年12月の消費者物価指数を発表した。代表 …

kosakukiki
7~9月期GDPを占う7月の機械受注統計。結果はやはりいまひとつ

 内閣府は2014年9月10日、7月の機械受注統計を発表した。主要指標である 「 …

Rare earth
実は厄介者?世界の9割を独占していた中国がレアアース輸入に転換した背景とは?

 世界シェアの90%を握るといわれている中国のレアアース生産が曲がり角に来ている …

gpif
年金運用のポートフォリオが大幅変更に。だが実際には現状を追認しただけ

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は6月7日、年金積立金の基本ポートフ …

abe
安倍総裁が金融政策に関する発言を全面撤回。無邪気な政治家が空けたパンドラの箱

 自民党は21日、次期衆院選の政権公約を正式発表した。この席で安倍総裁は、自身の …

tosho02
増配など株主還元策が顕著に。背景には円安と公的年金改革が

 企業が得た利益を株主に還元する動きが顕著になってきている。企業における資本効率 …