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オランド仏大統領の女優密会報道から考える、権力者に対するタブーと民主主義

 

 フランスの芸能誌がオランド大統領と女優ジュリー・ガイエさんとの密会写真を掲載したことが大きな話題となっている。
 フランスは権力者に対するタブーが強く、以前はメディアが権力者の私生活を報じることはほとんどなかった。だがサルコジ前大統領の時代からその流れが変わり、こうした報道も行われるようになってきた。グローバル化の流れを受けてフランスの社会風習も変わりつつある。

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 芸能誌が掲載した写真は、2013年の大晦日、パリのマンションで2人が過ごしたとされるもの。オランド大統領はプライバシーの侵害だとして法的措置を検討するとしている。

 フランスはその成り立ちが革命政権であることから、民主主義に対する価値観が、他の民主国家とは少し異なっている。
 戦前の日本と同様、本来、軍隊内部の捜査機関である憲兵隊が一般国民に対する強力な捜査権限を持っている。軍隊が自国民に対して日常的に権力を発動するのは、軍事政権では珍しくないが、民主国家ではあまり例がない。また行政に対する裁判は、司法ではなく行政内に設置された裁判所が受け付けることになっており、あまり中立性は担保されない。
 当然のことながら、政治家はかなりの既得権益を持っており、権力者に対するタブーが強いことで知られている。かつてミッテラン大統領の不倫について質問した記者が「それがどうした」と大統領に返され、つまみ出された話は有名である。

 だが、本来、民主国家においては、選挙で選ばれたリーダーにプライバシーはないのが原理原則である。政治家は、婚姻制度や性倫理などを規定している法律を変える権限を有している。政治家の方針一つで、同性愛や事実婚が違法となったり合法となったりするという現実を考えると、政治家がどのような私生活を送り、どういった結婚観や性倫理観を持っているのかについて国民は知る権利がある。
 また国家のトップはミサイルの発射ボタンを押す権限が与えられているという重い事実を考えれば、どのような私生活を送っているのか把握できないというのは大きな問題である。政治家のプライバシーの保護が、場合によっては、汚職の隠蔽や外国による工作活動の隠れ蓑にされてしまうということも周知の事実である。

 かつて不倫騒動を起こしたクリントン元米大統領は、議会の調査委員会による徹底した調査で、不倫相手のモニカ・ルインスキーさんと、大統領執務室においてどのような姿勢で性行為に及んだのかまで公開された。さすがにこれに対してはやり過ぎとの批判が出たが、オバマ現大統領も、本来は明かしたくないであろう詳細な健康診断の結果まで国民に公表している。

 価値観が多様化し、ネットを使ってグローバルに情報が流れる時代において、情報を隠すことはデメリットの方が多くなりつつある。オランド大統領もそのことはある程度認識していたようで、オバマ大統領ほどではないが、健康診断の結果を公開して話題となった。だが女優とのゴシップという、まったく別な形で、私生活の透明性を高める結果となってしまったようだ。

 一方、主要国で政治家の私生活や健康状態についてもっともタブー視されているのは、当然のことながら中国とロシアである。これらの国では、下手をすると権力者の健康状態について発言をしただけで身柄を拘束される危険性もある。独裁国家である北朝鮮はもちろんのこと、韓国も権力者に対するタブーが強い。
 要するに、その国の民主化レベルと情報公開の水準はほぼ比例しているわけだが、ひるがえって日本はどうであろうか?

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