ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

米国の財政・貿易収支の改善が顕著に。赤字垂れ流し国家は米国から日本に移った

 

 「膨大な額の経常赤字を垂れ流し、財政赤字にも苦しむ国」という米国のイメージはすでに過去のものとなりつつある。米国の貿易収支と財政収支が劇的な改善を見せ始めている。近い将来、米国は経常赤字と財政赤字を完全に克服できる見込みであり、世界経済の枠組みは大きく転換することになる。

usaboueki 米財務省は2014年1月13日、2013年12月の財政収支が532億2000万ドル(約5兆5000億円)の黒字だったと発表した。
 12月の財政収支が黒字となるのは2007年以来6年ぶり。政府系住宅金融機関の配当拡大など特殊要因が大きく影響しているものの、赤字続きであった米国の財政収支が単月黒字に転じたインパクトは大きい。

 米国は2009年以降、1兆ドルを超える財政赤字が続いていた。だが前会計年度(2012年10月~2013年9月)の財政赤字は6800億ドル(約70兆円)となり、1兆ドルを大きく下回った。現会計年度(2013年10月~2014年9月)における第1四半期の赤字額は約1736億ドルで、昨年度の同期間の赤字額から4割減少している。このペースでいけば、今期の財政赤字はさらに減少する可能性が高い。

 財政赤字に加えて、経常赤字の最大要因であった貿易赤字についても改善が進んでいる。米商務省が1月7日に発表した2013年11月の貿易赤字は、前月から約13%減少した。この数字は市場予想を大きく下回っており、米国の貿易赤字改善が予想以上のペースで進んでいることが明らかとなった。

 財政収支や貿易収支が改善しているのは、米国の景気回復が進み、輸出と税収が増えているからである。米国はシェールガス革命によって、世界でもっとも安価に、かつ安定的にエネルギー供給を受けられる国となった。これにともなって米国には多くの製造業が回帰してきており、輸入の減少と輸出拡大が進んでいる。もともと個人消費が堅調だったところに製造業の復活が重なったため、景気拡大に拍車がかかり、これにともなって税収が大きく伸びている。

 また与野党の協議がほぼまとまったこともあり、米国政府の歳出削減は今後、急ピッチで進む可能性が高い。これらの要因が組み合わされることで、財政収支と貿易収支の改善が同時に進んでいるのだ。

 GDP比でみた場合の貿易赤字は、すでに日本と米国は同じ水準に達している。今後日本の貿易赤字は拡大し、米国の貿易赤字は縮小する見込みとなっている。財政赤字については、日本は米国の2倍以上の水準だ(日本政府は資産を保有しているから大丈夫という説があるが、資産を差し引いたネットの数値でもあまり状況は変わらない)。

 世界に向けて赤字を垂れ流す国は米国ではなく、日本になりつつある。米国は貿易赤字を垂れ流しながらも、魅力的な資本市場によって世界からマネーをかき集めていたので、資金不足になるどころか好景気を謳歌することさえできた。だが閉鎖的で魅力に欠ける日本市場には世界からマネーが集まる可能性は限りなく低い。日本が慢性的な経常赤字国となれば、それは純粋な資金流出を意味する。

 だが市場開放というグローバリズムによる解決方法を受け入れないという選択をしたのは、ほかならぬ日本人自身である。アルゼンチンやチリは戦前は豊かな先進国であったが、戦後は資金流出とそれに伴う諸外国からの高利の借金に長く苦しんだ。
 現在はあまり強く意識されていないかもしれないが、日本人が経済財政政策に関して重大な決断を迫られる時期はそう遠くないだろう。

 - 経済 , , ,

  関連記事

fanakku
秘密主義から一転、株主との対話路線に舵を切った「謎の会社」ファナック

 産業用ロボット大手ファナックの株価が急騰している。2月初旬には2万円前後だった …

ieren201409
FRBが年内の資産縮小開始を表明。米国の量的緩和策は完全終了フェーズへ

 FRB(連邦準備制度理事会)が市場の予想通り、再利上げと年内の資産圧縮開始を決 …

kosokudoro02
消費税の影響は今のところ限定的だが、やはり公共事業頼み?

 消費増税後の景気を、活発な公共事業が支える構図が明確になっている。内閣府が発表 …

google2014
グーグル、持ち株会社設立後初の四半期決算。自社株買いなど株主重視に転換?

 米グーグルの持ち株会社であるアルファベットは2015年10月22日、2015年 …

setubitousi
設備投資はようやく上昇トレンド入り。ただし公共事業依存体質からはまだ脱却できず

 内閣府は10月10日、8月の機械受注統計を発表した。機械受注統計は、民間設備投 …

tosho05
東証が審査を厳格化。なかなか前に進まない日本企業の情報開示

 スマホ向けゲーム開発企業「gumi」のずさんな情報開示をきっかけに、上場企業の …

mitsubishi20160421
三菱グループは大丈夫?自動車は3度目の不正隠し、重工では納入延期と連続火災

 三菱自動車は2016年4月20日、同社の軽自動車において燃費データを改ざんして …

mof03
法人減税は安倍政権の本当の「顔」を知るリトマス試験紙

 法人税減税の焦点である課税ベース拡大に関する議論が本格化している。政府の税制調 …

goan
10億の報酬をもらうゴーン氏。だが仏本国では世論に配慮し少額しかもらっていない

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は6月25日に開催された株主総会で、2013年 …

kabuka
公的年金がリスクの高いアクティブ運用にシフト。背景には何が?

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2015年4月1 …