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長時間労働の人ほど上司がそれを評価してくれていると考えている?

 

 長時間労働をする人ほど、残業について上司が評価してくれていると考える割合いが高いことが、内閣府の調査で明らかになった。日本企業の生産性の低さがしばしば問題にされているが、従来の働き方や評価方法に対する見直しが迫られそうだ。

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 調査は2013年9月に実施され、20~59歳の労働者約2500人が回答した。調査結果はワークライフ・バランスに関する今後の政策提言に活用される。

 調査では、「残業している人について上司はどう評価していると思うか?」という質問に対して、「頑張っている人」「仕事ができる人」といったポジティブ評価をしていると答えた労働者は、残業時間10時間未満の人では38%だったが、12時間以上の人では53%に達した。
 一方、残業している人について「仕事が遅い人」といったネガティブな評価を上司がしていると考えている労働者の割合いは、残業10時間未満では37%だったのに対して、残業12時間以上では26%に減少している。
 つまり残業が多い人ほど、残業すれば上司が自分を高く評価すると考え、残業が少ない人ほど、残業は仕事ができないことの証明と考えているということになる。

 この結果は、労働者の残業時間は、上司の評価基準(厳密には評価基準に対するイメージ)に大きく左右されることを示している。残業をプラス評価する人が一定数以上存在していれば、残業は継続することになる。
 日本は経済水準に比べて、労働者、特にホワイトカラーの生産性が低いといわれている。最近では残業をさせるとブラック企業と呼ばれるという風潮もあり、労働時間は減ってきているが、それでも、他国と比較すると生産性は低いままだ。

 今回の結果を見ると、社風や評価基準を変えることによって、残業を減らすことが可能であり、それに伴って企業の生産性を向上させる余地があると判断できそうだ。だが日本全体で考えると、話はそう単純ではない。日本の低い生産性は、残業をプラス評価する労働慣行だけでもたらされているわけではないからだ。

 生産性は、生産高を労働時間(労働者数)で割って求められる。特にマクロ的な意味での生産性は、どれだけ生産高(付加価値)が大きかったのかに左右される。日本はドイツや米国と並ぶ物作り大国だったが、両国が付加価値の高い製品にシフトしたにもかかわらず、日本の製造業の多くは、依然として少品種大量生産のビジネスモデルを続けている。またサービス業についても企業集約が進まず、効率の悪い経営を続けている。
 生産性を計算する式の分子にあたる付加価値を上げられないことから、日本企業の生産性の向上には限界があるのだ。しかも、低付加価値産業の場合、生産量の絶対値を上げるには、労働時間で稼ぐしかなく、生産性はいつまで経っても上昇しない。

 日本企業は雇用維持を最優先しているので、経営を合理化して付加価値の高いビジネスモデルに移行することができずにいる。これが生産性が低い最大の理由であり、長時間労働はむしろ、その結果として発生していると考えるべきである。

 現在、日本では賃上げに関する議論が行われている。もし日本企業の多くが経営の効率化を行えば、生産性は向上し、賃金はすぐに上昇するだろう。だがその分、多くの雇用が失われることになる。現在の雇用を維持しようと思った場合には、生産性は容易に向上せず、賃金も上昇しない可能性が高い。
 同じ収益なら労働時間を減らし、その分余暇などで消費が増えれば、全体としてはプラス効果となる。その意味でワークライフバランスの進展は望ましいことかもしれないが、現状の経済状況に対するマクロ的な解決策にはなり得ない。

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