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「最近・・・が増えている」「最近の若者は・・・」という話題にはご用心

 

 世の中では、しばしば「近年、・・・が増加している」あるいは「最近の若者は・・・・」という切り口で話題が提供される。だが多くの場合、それは根拠のないイメージであることが多い。同一もしくは近い条件で過去の事例をあたってみると、時代が変わっても状況はあまり変化していないことが多い。

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 昨年末に行われた朝日新聞の世論調査では「将来の生活について、期待と不安ではどちらの方が大きいですか?」という問いに対して、81%の若年層(20代から30代)が「不安の方が大きい」と回答していた。
 同紙の記事は純粋に世論調査の結果なのでそれ以上の分析はなかったが、他紙では「不安を抱えた現代の若年層世代」という切り口で、この記事を引用したコラムが書かれていた。

 まったく同じ条件で世論調査が継続されることは希なので、本当に不安を抱える若年層が増えているのかを検証するのは容易ではない。だが内閣府の世論調査は、類似した質問項目を長期間継続しているので、ある程度の時系列分析を行うことができる。

 内閣府の世論調査によると、「悩みや不安を抱えているか?」という質問に対して「不安がある」と回答した若年層の割合は、2013年の調査では約60%だったが、14年前の1999年の調査では約57%となっている。
 質問内容が同一ではないので、単純に比較はできないが、不安な理由のトップは「老後の生活」であることを考えると、朝日新聞の調査内容と近いものと考えてよいだろう。不安だと感じる人の割合は確かに3%増加しているが、約15年で3%増加したことをもって、今の若年層について「不安を抱えた世代」と解釈してよいかは微妙なところである。

 以前「三丁目の夕日」という映画が話題になったことがある。昭和30年代の日本人は夢と希望に満ちあふれていたというノスタルジックな設定なのだが、実際の昭和30年代は映画とはかなり様子が異なっていた。
 昭和30年代は、地方からの集団就職による上京が盛んな時期であった。故郷を捨て、単身上京してきた労働者は現状に対してかなり不満を持っており、将来に対しても大きな不安を抱えていた。当時の新聞などを見ると、将来、大量の失業者が出るのではないかという悲観的な記事のオンパレードである。要するに時が過ぎてしまえば、多くの人にとって昔は何でもよく見えるということである。
 内閣府での調査結果も同様で、生活に不満があると回答した人の割合は、昭和39年では37%に達するが、現在では28%程度だ。

 「最近の若者は・・・」という切り口は、今も昔も、中高年を対象としたビジネス誌の定番である。現在は40代の中年社員が、デジタルネイティブの新入社員に対して困惑したり、怒ったりするというのがお決まりのストーリーなのだが、40代の中高年社員が新入社員だった時代には、現在の若者と同じように、あるいはそれ以上に激しく批判されていた。会社に入っても遊ぶことばかりで、何を考えているか分からず、マスメディアでは彼等のことを「新人類」と呼んでいた。

 技術の進歩で生活様式は急激に変化するが、人の思考回路はそれほど大きく変わらない。いつの時代でも、年齢が上がるにつれて、過去を肯定する割合が上がってくるというのも共通現象のようである。「最近は・・・」と感じる頻度が高くなってきたら、それは老化が始まった兆候なのかもしれない。

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