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巨額赤字の任天堂。相続された株式の行方をめぐって市場は戦々恐々

 

 任天堂は2014年1月17日、2014年3月期の業績予想を大幅に下方修正すると発表した。当初9200億円の売上げを予想していたが、3300億円も売上げが減少し最終的には5900億円となる見込み。当期利益も当初予想の550億円の黒字から一転して250億円の赤字になる。
 期末まで2カ月しかないという段階になって、売上げが予想の3分の2になるという、にわかには信じられない内容に、株式市場では衝撃が走った。週明けの株式市場では18%下落して取引が始まった。

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 決算ギリギリになってこのような予想が出されるというのは、もはや賭博場と化し、アジアのローカル・マーケットに成り下がった日本の株式市場ならではといえるが、それにもまして投資が気を揉んでいるのは、昨年死去した同社創業家の山内溥氏が保有していた1800億円にも上る株式の行方である。

 同社は2013年12月、同年9月に死去した山内氏が筆頭株主でなくなったことを発表している。山内氏の株式は、長男で同社の企画部長である山内克仁氏ら遺族4人に相続される。遺族には相続税が発生することになり、場合によっては相続税支払いのために同社株が売りに出される可能性がある。実際、同社の岩田社長は17日、山内氏の遺族が株式を放出する意向を持っていることを明らかにしている。

 相続された株式の時価総額は1800億円と高額になるため、理論的には50%の相続税が課されることになる。山内氏の遺族がどの程度、相続税対策を実施しているのかは定かではないが、金額が巨額であることから、対策をしたところでそのレベルはたかが知れている。遺族にはかなりの額の相続税が課される可能性が高い。
 相続税法では相続人は被相続人が死亡してから10カ月以内に相続税を支払う必要がある。山内氏は2013年9月19日に死去しているので、7月中旬までには相続税を支払う必要が出てくる。

 市場に対する影響が最も少ないのはファンドなどの大口投資家に丸ごと売却してしまうというものである。かつて日本マクドナルドの創業者である藤田田氏が死去した際は、持ち株がそのまま投資ファンドに売却されたので、市場では大きな混乱は発生しなかった。
 だが今回は、前代未聞の業績悪化の直後であり、株式市場には同社に対する不信感が蔓延している。普通に考えると気前よく株式を引き受ける投資ファンドは少ないと考えられる。

 それが原因かは不明だが、岩田社長は株式の売却先として自社株買いも視野に入れていると述べている。2013年9月時点で同社は4800億円の現金を保有しており、株式を購入する余力はある。だが問題は別のところにありそうだ。
 同社の株価はピークから5分の1と低迷が続いている。株主からは自社株買いを求める声が多かったが、同社は積極的に自社株買いを行ってこなかった。創業家の相続税対策というときだけ、自社株買いという言葉が出てくる状況に、既存株主の心境は複雑である。

 ともかく、相続する額が巨額であることから、一般市場での売却は株価への影響が大きい。岩田社長に対しては業績の立て直しに加えて、資本政策の正常化という責務も課されることになる。花札商店としてスタートし、日本を代表するゲーム機メーカーにのし上がった任天堂だが、創業家出身のカリスマ社長の死去と時を同じくして、その姿を大きく変えつつある。

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