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新興国の失業率が増加傾向。世界経済の枠組みは大きく変わりつつある

 

 ILO(国際労働機関)は2014年1月21日、雇用情勢に関する年次報告書を発表した。それによると、2013年における世界の失業者は前年比で500万人増の2億200万人であった。これまでは先進国の失業が大きな問題だったが、新興国の失業が目立ってきており、世界経済の枠組みが大きく変化していることをうかがわせる。

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 全世界の失業者数はリーマンショック以後、ほぼ毎年増加している。ただ世界的に人口も増加しているので、失業率という意味では安定に向かいつつある。
 全世界的な失業率は、リーマンショック直前の2007年には5.4%まで低下していたが、2009年には6.2%まで上昇した。その後、一旦は5%台まで下落したものの、2012年から再び上昇の傾向を見せている。ただ今後はそれほど失業率が増加するわけではなく、6%前後で推移していく可能性が高い。

 もっとも失業率に変化がないといっても、労働市場の内容は大きく変化している。
 リーマンショック後は先進国で失業率が増加傾向となり、新興国では低下傾向であった。だが今後は先進国で失業率が低下し、逆に新興国で失業率が増加する見込みとなっている。

 中国やASEANなどの新興工業国は、世界の工場としてリーマンショック後の世界経済を支えたが、最近ではそれが機能しなくなってきている。米国経済が復活してきたことや、新興国が豊かになり、コスト競争力を失ってきていることがその主な原因だ。新興国は成熟国家になるためのプロセスに入ってきており、ここからは失業率の増加や学歴と仕事のミスマッチなど、経済の成熟化に伴う各種の問題に直面することになる。

 世界経済は米国など先進国を中心に、今後も成長が続く可能性が高い。だが先進国主導の経済成長は新興国主導のものと比べるとスピードが穏やかであり、新興国で発生した余剰労働力を吸収するほどのものにはならない。

 新興国の失業は産業構造の転換という構造的問題に由来するものであるため、すぐに解消することは困難である。当面の解決策として、全世界的に緩和的な金融政策を継続することになる可能性が高く、そうなってくると、インフレの弊害がかなり認識されることになるかもしれない。

 学歴と仕事のミスマッチは先進国でも大きな問題となる可能性が高い。これまではITの導入で仕事を失うのはブルーカラーというのが定番だったが、ITの高度化によって、最近はむしろホワイトカラーにおける単純労働が減少してきている。
 ある程度の教育を受けていても、付加価値の低い仕事しか見つからないという事態は、全世界的に観察されることになる可能性が高い。

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