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景気が良くなるほど、経済格差が拡大するという不都合な真実

 

 貧困の撲滅活動を行う国際NGO「オックスファム」は2014年1月20日、経済格差に関する最新報告書を発表した。それによると、世界における経済格差は急激に拡大しており、人口の1%ほどの最富裕層が世界の富の半分を独占しているという。

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 全世界的に見ると、1日1ドル以下で生活する最貧困層に属する人が12億人も存在しており、1%の富裕層の富が世界の半分を占めるという状況はそれほど驚くべきことではない。
 ただ、先進国も含めて経済格差が拡大しているのは事実であり、今後の経済成長に大きく影響する可能性がある。

 1%の富裕層の資産が、その国の富に占める割合は、1980年と比較すると米国では2倍に拡大している。またシンガポール、スウェーデン、ノルウェーなどでも拡大傾向が見られる。一方、フランスやスペインはあまり格差が拡大していない。日本は1.2倍程度に拡大しているが、これは高齢者の急激な増加と関係している可能性が高く、厚生労働省の調査(ジニ係数)では日本の経済格差はむしろ縮小している。

 上記の国々の名前を見ればわかるように、経済成長が著しかった国で格差が拡大し、不景気が続いた国では格差が縮小あるいは横ばいになっていることがわかる。全世界的に見れば、ここ20年は歴史的水準の高度経済成長期であった。このため全世界における経済格差が前例のない水準まで拡大するのは、ある程度、予想されたことなのである。

 日本の明治以来の歴史を見てもその傾向は顕著である。日本において所得格差がもっとも拡大した時期は、戦後の高度経済成長時代と80年代のバブル経済期、戦前では大正時代のバブル経済期である。一方、経済格差がもっとも縮小しているのは、不況が続く現在と、世界恐慌から太平洋戦争に突き進んだ昭和初期の時代だ。

 皮肉なことだが、不況が続けば続くほど、経済格差は縮小し、好景気が続くほど格差は拡大するのである。好景気の時は皆の給料が上がるので、生活が楽になった感じがする。このため国民から不満は出にくいが、その裏で格差はどんどん拡大する。逆に不況期は、皆の給料が下がるので不満が出やすいが、格差は縮小する。

 格差の拡大と縮小は循環することが多く、格差が極限まで進むと、今度は逆のベクトルが働くことになる。国際経済を分析するエコノミストの間では、今後の全世界的な成長鈍化を懸念する声が上がっている。全世界的な格差の拡大が極限まで達していることを考えると、エコノミスト達の懸念は現実のものになるかもしれない。

 - 社会, 経済 ,

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